IBMがジャストのxfyに注目、XML 2005でDB2 Viperとの連携をデモ:XML 2005 Conference Report(2/2 ページ)
DB2 Viperを披露したIBMがフロントエンドのクエリーツールとして着目したのが、ジャストシステムの「xfy」だ。アトランタの「XML 2005」カンファレンスでは両社による共同セッションが行われた。
xfyのユニークな点として、ジャストシステムが独自に開発した「XVCD」というXMLスクリプト言語が組み込まれていることが挙げられる。
XVCDは、XSLTを拡張して作られたプログラミング言語で、XMLデータの内部に埋め込んでおくことができる。xfyで編集したXMLデータにはXVCDコードを含めることができ、常にデータとプログラムを一体として扱うことができる。メソッドとデータがまとまっているということで、これはOOP(オブジェクト指向プログラミング)でいうオブジェクトにほかならない。そこで同社はこれを「XMLオブジェクト」と呼んでいる。
xfyの基本的な働きは、XMLオブジェクトの作成/編集だといってよい。XMLでは、適切なコンポーネントを組み合わせることで、XMLの複数のボキャブラリを無制限にネスト(入れ子)できるため、従来型の「特定のXMLボキャブラリに個別対応して変換機能を実装したアプリケーション」とは比較にならない自由度を持つのだが、それはさておき、デモで示されたサンプルアプリケーションは、データベースに格納された情報を見やすく表示するクエリーアプリケーションである。
基本的な想定としては、データベースから必要な値を取り出してレポートにまとめる、という処理だ。xfyの画面上にデータベースオブジェクトを挿入すると、データベースの指定を経て、データの項目の選択など、よくある指定を行って、表形式のデータを貼り付けることができる。実際には、ここではDB2 Viperが返送してきたXMLデータをView Generatorが解析して表形式に整形し直して画面上に表示する、という処理が行われている。
そして、面白いのは、ここでは最終的なデータを貼っているのではなく、クエリーの手順そのものがXVCDで記述されたプログラムとしてレポートのファイル(これもXMLデータになる)の中に格納されることだ。データベースから取り出したデータを変換して置いたのではなく、データベースから取り出す操作そのものが文書ファイル内に記載されている、と考えればよいだろうか。
この結果、出来上がったレポートは、ドキュメントでありながら、必要に応じていつでもデータベースに接続してデータを抽出できる「データベース・クエリー・アプリケーション」にもなっている。xfyではデータと、データを操作するアプリケーションを区別して考えるのではない。XMLオブジェクトありきで、それを操作するのはxfyだけで足りる、という世界なのである。
IBMとの共同セッションでは、IBMの担当者がDB2 Viperの説明を行い、ジャストシステム側でDB2 Viperと連携するxfyの機能を紹介する、という形で行われたため、時間が足りなくなってしまいやや消化不良の感もあった。しかし、そこに盛り込まれたコンセプトやxfyが実現した機能は極めて印象深いものがある。IBMがDB2 Viperを提供する際に、当然必要とされる「XMLデータストアに対応したクエリーツール」としてxfyがIBMから注目されたことで、xfyの利用が拡大する可能性もある。
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