SOAを小さく始めよう:SOAでつくる変幻自在の情報システム(3/3 ページ)
「幾つくらいのサービスがあればSOAと呼べるのか?」との質問を受けた。これに関連して興味深い結論が導かれる。SOAによるシステム構築のメリットは、「小さく始めて大きく育てる」ことができる点にある。
SOAのキラーアプリケーション〜マルチチャネルアプリケーション
もう一つのキラーアプリケーションの形態も、SOAという言葉が広く知られるようなる以前から存在した形態である。
企業内のアプリケーションをバックエンド(ファクトリー)とフロントエンド(チャネル)に分割し、両者をSOAで接続するという形態である。例えば、保険契約という業務を行う一つのバックエンドアプリケーションに対して、店頭、コールセンター、ネットという複数のフロントエンドアプリケーションを用意し、両者をSOAにより接続するという形態である。
これにより、新たなチャネルが必要になったときでも、バックエンドアプリケーションを大きく変更することなく、フロントエンドアプリケーションの追加を行うことが可能になり、システム全体としての柔軟性、俊敏性は大きく向上する。
同様に1つのフロントエンドアプリケーションが複数のバックエンドアプリケーション(例えば、生命保険、火災保険、自動車保険)とSOAで接続されるケースも考えられる。
この形態も、いわばアプリケーション全体をサービスととらえた考え方であり、SOAの展開形態としては原始的なものといえるかもしれない。しかし、このようなシステム形態でビジネス上のメリットを達成している事例も多くあることから、SOAのテクノロジーの最初の活用領域としては、検討に値するだろう。
SOAの実装においては、EA的なトップダウンのアプローチが提案される場合もあるだろう。しかし、SOAの場合には、大上段に振り構えるよりは、まず、「使えるところから使ってみる」というアプローチが有効であることが多いと考える。
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