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規制の圧力にはECMで立ち向かえ!エンタープライズコンテンツ管理のすすめ(2/2 ページ)

オフィスの環境を見渡してほしい。企業内では、さまざまな形態の情報が利用されている。これら情報の活用を図る一方で、近年、規制の圧力が適切な管理を求めている。

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 ECMは、一般的に企業内で利用されるさまざまな情報(コンテンツ)を効率的に管理するシステムを意味し、紙の書類や、さまざまなアプリケーションが作成したデータ/ファイル、電子メールやWebコンテンツなどを収集、整理して一元的に管理できるシステムのことを指す。異なるデータ形式の文書活用の状況を改善し、統合的なソリューションとして情報の一元管理を達成するのがその大きな狙いだ。

 元々KM(Knowledge Management:ナレッジマネジメント)というコンセプトで提唱されていた考え方だが、ECMにも密接に関連しており、今後の発展が期待される分野である。従来KMに積極的に取り組んでこなかった企業でも、コンプライアンスなど何らかの形でのコンテンツ管理が必要になり、併せてKM的なメリットも追求するために適切なECMの導入を検討する、という流れも出てきているようだ。

あいまいなEMCの定義

 ECMという言葉は比較的最近になって定着してきたものだ。しかし、その概念自体は古くからあり、そのせいもあって内容が多義的であり、どのような用途に注目しているかという点で大きく異なる製品/ソリューションが混在している。このため、ECMという概念自体が曖昧としていて不確かなものと受け取られることもあるようだ。

 古くは、ペーパーレスオフィスの推進がコンピュータ利用の大きなメリットとされた時期もある。もう20年近く昔の話になるが、このころのECM的ソリューションとしては、紙文書の電子化が中心だった。「光ファイリング」などと呼ばれるソリューションでは、紙の書類をスキャナで読み取ってデジタル化し、MOなどの光磁気ディスクを利用したライブラリ装置に格納する、といったことが行われてた。こうしたソリューションは広く普及したとは言い難いが、大量の書類の保管に困っていた企業では利用例もあり、スペース削減などに一定の効果があったようだ。

 また、インターネットの利用が急速に拡大した1990年代後半には、CMS(Contents Management System:コンテンツマネジメントシステム)という呼び名で、主としてWebサイトで公開するコンテンツの効率的な管理を主眼としたソリューションが中核的な存在だった。HTMLドキュメントのバージョン管理などに加え、Webサイトへの効率的なアップロード支援など、Webサイト運営支援ツールとしての性格が強いものだ。

 さらに、オンラインコマースが普及すると、オンラインショッピングサイトの管理に特化し、Web上に掲載する商品カタログ、在庫情報の効率的な管理や、キャンペーンの設定管理などの機能を重視したコマースサイト管理ツールといったものも出現した。これらは「Webサイトのコンテンツ管理」という意味でコンテンツマネジメントとひとくくりに呼ばれたのだが、現在の視点からは企業が抱える情報全般の管理というよりはWebサイトに特化したポイントソリューションとしての色合いが強く、ECMのサブカテゴリと考える方が適切だろう。現在のECMは、Webサイトの運営やコマースサイト管理者のみに有用なツールではなく、企業経営に資するより広範なソリューションと考えられるようになってきているのだ。

 次回は、このように性格の異なるモジュールが組み合わさって構成されるECMの各要素を見ていくことにしよう。

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