今を見極め、変化に対応する次世代の「Fusion Applications」を売り込むOracle幹部:Oracle OpenWorld Tokyo 2006 Report
最終日を迎えたOracle OpenWorld Tokyo 2006で、午前のキーノートにアプリケーション開発を統括するウーキー上級副社長が登場、次世代の「Fusion Applications」戦略を顧客らに説明した。
3月3日、都内で開催されている「Oracle OpenWorld Tokyo 2006」は3日目を迎え、午前のキーノートに、Oracleでアプリケーション開発を統括するジョン・ウーキー上級副社長が登場した。
ウーキー氏は、顧客が継続的に競争力を向上していくための原動力になるのがOracle、特にOracle Applications部門のミッションだとし、そのための理念である「保護」「拡張」、そして「進化」をテーマとし、同社のアプリケーション戦略を顧客やパートナーらに説明した。
今、日本の企業はさまざまな課題に直面している。ビジネスプロセスの標準化、法制度や規制へのコンプライアンス、そして国内だけでなく、広く海外へも視野を広げ、低価格で調達できるサプライヤーを選ばなくては競争に勝てない。しかし、残念ながら多くの企業の場合、融通の利かないITインフラが、こうした課題に迅速に対処する妨げとなっているのではないだろうか。
ウーキー氏は、「今を見極め、変化に対応する、情報中心のシステムが必要だ」と話し、そのソリューションが「Oracle Fusion Applications」だとする。
Fusion Applicationsは「いいとこ取り」
Fusion Applicationsは、「Best of the best」とウーキー氏が表現するとおり、Oracle、PeopleSoft、JD Edwards、そして、Siebelのベストの機能を採用する、いわば「いいとこ取り」であり、標準の開発プラットフォームで構築できるアプリケーションスイートとなる。
Fusion Applicationsでは、今を見極め、ビジネスを可視化するために、DataHub、ビジネスインテリジェンス、BAM(Business Activity Monitoring)のような機能が統合されるという。
ステージでは、PeopleSoft Enterprise CRMのオペレーショナルダッシュボードがデモされ、コールセンターの状況をリアルタイムで把握し、問題分析し、迅速なアクションにつなげていくシナリオが紹介された。
「ビジネスシナリオに基づいてデザインされている。これをFusion Applications全体に拡大していく」とウーキー氏。
Fusion Applicationsを支える設計思想はまだある。今を見極めることができたら、次は「変化に対応する」ことだ。業務要件への高い適応性と柔軟な接続性も確保されなければならない。OracleではSOAをベースとし、インダストリーに特化したコンポーネントを提供し、要件に応じてアプリケーションフローを柔軟に組み上げたり、変更できるようにするという。
従業員の入社手続きは、複数部門がかかわるため、手間が掛かるものだが、例えば、これをセルフサービス化するデモもステージで行われた。新たに採用された社員は、ポータル画面に現れたナビゲーションマップに従っていくと、PeopleSoftのHCM(Human Capital Management)、Oracle Identity Management、外部のPC販売サイトがシームレスに切り替わり、手続きが完了する。
ウーキー氏は、「次世代アプリケーションは、ビジネスの要件からスタートするものであって、ITの制約からではない」とし、柔軟に組み上げられるOracle Fusion Applicationsの強みを印象付けた。
Fusionコンポーネントを前倒し提供
今のところ、同社の2008会計年度(2007年6月〜2008年5月)にFusion Applicationsのスイートが完成するロードマップだが、個々のコンポーネントは前倒しで提供が始まる。XMLベースのレポートライブラリーがOracle E-Business SuiteやPeopleSoftで2007会計年度に提供が始まるほか、Siebel製品などにもBPM(Business Process Management)機能が提供されるという。
「ベストの機能を組み合わせる、標準の開発プラットフォームで構築する、といった設計理念がすでにFusionコンポーネントには反映されている。顧客は、こうしたFusionコンポーネントを既存のアプリケーションに統合し、幾つかの課題を解決していける」とウーキー氏は話す。
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