「地方自治体に金はない、残されているのは時間だけ」――長崎県:激変! 地方自治体の現実(4/4 ページ)
「多くの自治体は、このままでは確実に経済破たんする状況にある」――長崎県総務部参事監の島村氏はそう話し、地方自治体における地場産業の活性化に必要なのは県庁職員の意識改革とオープンソースであると話す。
自治体は経済破たん寸前、残された武器は?
ITmedia 今後の課題は?
島村 先ほどお話ししたように、地場企業がほかの自治体でも活躍できるようにしていくことと、ダウンサイジングへの取り組みです。
長崎県に限らず、今後多くの自治体では高齢化が進み、確実に税収が落ち込んでいきます。長崎県では、2000年時の実数と2020年の予測を比較すると、70歳以上の割合が33%増になると見られています。
一方、税収を担う世代の割合は、15歳から34歳までの人口で33%減、20歳から59歳でも23%減となります。つまり、このままでは確実に経済破たんする状況にあるわけです。当然、ダウンサイジングも根本的に見直し、これまで10億円かかっていたものを3億円程度にまでしなければ立ちゆかなくなるのです。
ITmedia 相当難しい気がするのですが、めどは立っているのでしょうか。
島村 はい。運用費はある程度以下にすることは難しいですが、ハードウェアも含め随意契約の中でシステムの値段が高止まりしていますので、そこを改善していくことで可能だと考えています。例えば、現在使用している汎用機には専用端末が必要なのですが、これは随意契約もあって非常に高価です。現状のシステムを理解した上で、それらを分解し、従来は汎用機が行っていたオンライン処理のようなものをほかのサーバに行わせることで、こうした部分を大幅に削ることができます。
このダウンサイジングは長期間のプロジェクトですが、それは県庁職員のシステムに対する理解度の向上と、地場企業が十分な実力を得るまでにはやはりそれなりの時間が掛かるためです。
一昔前ですと、行政はお金も時間も有していると思われていましたが、現実には、今の行政に残されているのは時間だけで、お金はもうないのです。コストを抑えつつも大胆かつ迅速に進めていかなければなりません。
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