ESA戦略は成熟段階へ、自信をのぞかせるSAP:SAPPHIRE '06 Paris Report(2/2 ページ)
パリで欧州顧客向けの年次カンファレンス、SAPPHIRE '06 Parisが開幕した。会場には、世界72カ国から約8000人の顧客やパートナーが詰め掛けるなど、ソフトウェア欧州最大手の力を見せ付けた。
mySAP 2006の後に“Next Big Thing”はない
SAPは数年前から、SOA(サービス指向アーキテクチャー)をエンタープライズレベルにしたEnterprise Service Architecture(ESA)を提唱している。2007年に完成する計画で、これまで経過は順調、中でも先ごろ一般提供を開始したmySAP ERP 2005は礎石となる。
SAPはコンポジットアプリケーションというアーキテクチャーを進めているが、イノベーションは、サービスの数が左右するのもではない。サービスをいかにインテリジェントに組み合わせるかだ。そういった観点から、ビジネスユーザーへ裾野を広げ、情報へアクセスしやすくするために同社がフォーカスしているのが、ユーザーインタフェースだ。
米国のSAPPHIREで発表されたように、Microsoftとの提携の成果である「Duet」を提供するほか、Adobe SyetemsのFlex技術を活用した「Project Muse」も進んでいる。また、モバイル端末もサポートする。これにより、ユーザーはシチュエーション、アプリケーションに応じてさまざまなインタフェースを使い分けながら、同じNetWeaverベースのアプリケーションや情報にアクセスできるようになる。
mySAP ERP 2005は、Duet、Project Museをサポートする予定で、SAPが描くビジョンが現実のものとなる。
「mySAP ERP 2005は、業界初のサービス対応ERPだ。大きなベネフィットを得るための最初のステップとなる。また、ESAがもたらす潜在性を最大限に引き出す土台となる」とカガーマン氏は話す。
実際、SAPはこのmySAP ERP 2005およびESAを一種の究極形と見ているようにもとれる。カガーマン氏は「(2007年にESAロードマップが完成した後のことを聞かれるが、)“Next Big Thing”はない」とも言う。「今後はアップグレードではなく、築いた土台を活用して進化させ、広げていくだけだ」とカガーマン氏。
ESAは、NetWeaverがBusiness Process Platform(BPP)に進化して完成する。設計、実装、運行のプラットフォームとなるもので、これにより、ITはビジネスに組み込まれることになる。年内にNetWeaverはBPPとなり、mySAP Business Suite、mySAP All in Oneがこれに対応することで、ESAロードマップが完成する。
中規模企業支援のためセンターを開設
中規模市場は、同社をはじめ、業務アプリケーション各社のフォーカスエリアとなる。同社は現在、2010年に、現在の2倍以上の年商700億ドル企業を目指すという計画を描いており、これを実現する上で中規模企業は重要となる。
現在、小規模企業向けに「SAP Business One」、中規模企業向けに「mySAP All in One」を提供しているが、中小規模企業へのアプローチでも、戦略はエンタープライズと同じ。業種別ソリューション/Enterprise Service RepositoryとNetWeaverを中核としたアプリケーションというもので、直販、チャネル経由で提供している。
この日は、2006年中にAll in OneをNetWeaverに対応させ、2007年のESAロードマップ完成時にはBPPに対応させることと、世界6カ国で「SEM Solution Center」を開催することを発表した。米国、スペイン、英国、ドイツ、チェコ、シンガポールの6カ国で、中小規模企業向けに80もの業種別ソリューションを提供し、SAPのソリューションを実装を支援するという。
午後のプレス発表会で、同社の営業を統括するレオ・アポテカ社長は、中小規模市場から学んだ経験として、「多くの中規模企業は、1〜2種と少ないが、差別化につながる重要なビジネスプロセスを持っている。ここには高度なツールが必要だ」と話し、同社の業種別アプローチが有効だとした。
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