顧客満足度向上でシェアナンバーワンに挑むデルのメリット社長:Interview(2/2 ページ)
デルのジム・メリット社長は6月20日、就任以来初となる記者会見に臨んだ。「日本のサーバ、ストレージ市場には大きな機会があり、ここを強化して成長したい」とするメリット社長に話を聞いた。
ITmedia このところデルは顧客満足度の向上を強調していますが、十分なサポート体制が築けなかったことの反省や、過去にあった品質に起因するトラブルから学んだことを反映しているのでしょうか。
メリット デルの成長はあまりにも急すぎました。その結果、法人顧客というよりは、むしろ個人顧客に対するカスタマーサービスやサポートの体制が追いつきませんでした。それは事実です。
われわれは、全社を挙げて顧客満足度の向上にフォーカスしています。経営幹部に対しては、顧客満足度の向上が重要な指標として設定され、その改善度合いが問われています。
営業、サービス、およびサポートチームの増員はもちろん、既存スタッフの再教育によって体制を整備するためにグローバルで1億ドル規模の投資を決めています。宮崎カスタマーセンターでも、既に300人体制となっていますが、さらに200人増員し、2007年度末(2007年1月)までに500人まで引き上げます。
また、エンタープライズ向けの営業やデル・プロフェッショナル・サービスのチームを中心に川崎でも200人を増員する計画です。
デルでは、顧客からのフィードバックを週単位で改善に生かしているほか、顧客調査も年2回実施しています。テクニカルサポートやカスタマーケアから得られるフィードバックによると、ここ6カ月間、すべての製品群で顧客満足度が劇的に改善しています。
ブレードも標準化可能と判断
ITmedia エンタープライズ分野でのライバルであるIBMやHewlett-Packardは、ハイエンドのUNIXサーバをラインアップしていたり、ブレードサーバの販売にも力を注いでいます。標準化された技術や製品だけで顧客の声に十分こたえられるのでしょうか。
メリット われわれは、標準化されたビルディングブロックを必要に応じて買い足してスケールアウトしていく「スケーラブルエンタープライズ」を顧客らに提案しています。これにより、企業はIT投資のリスクを低減し、高いROIを得ることができます。実際、64ビット化とデュアルコア化が進んだ2ソケットと4ソケットのIAサーバによって、顧客のほとんどのニーズを満たすことができるようになっており、大きな初期投資を必要とするハイエンドのUNIXサーバの成長は、IAサーバのそれと比較して鈍化しています。
また、ブレードについても、標準化を進める方針を明確に打ち出しており、今回、第9世代となるPowerEdgeサーバ製品群にも第2世代となるブレード製品「PowerEdge 1955」をラインアップしました。デルは、ブレード製品でも、独自技術を推し進めるのではなく、オープン標準のアンブレラの下に開発を進め、標準化が可能と判断した市場にはどんどん参入していきます。
ITmedia 日本市場におけるPC出荷台数のシェアは、継続して高い伸び率を記録し、12%を超えてきましたが、2003年以来3位に甘んじています。20%前後のNECや富士通に追いつき追い越すことはできるのでしょうか。
メリット 顧客と従業員にフォーカスすることで、わたしが在任中にナンバーワンになれると思っています。デルが顧客にとって最も信頼されるソリューションプロバイダーとなり、従業員にとっても「キャリアを積める会社だ、喜んで働きたい」ということになれば、自ずと結果は伴ってくるはずです。
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