年商800億ドル達成に自信を見せるDellのロリンズCEO
PCの成長率が鈍化する中、Dellの新たな「売り上げ倍増計画」に懐疑的な声も多いが、東京で記者会見を行ったロリンズCEOは、特にエンタープライズ事業が好調なことを指摘し、改めて年商800億ドル計画を説明した。
「今年はマイルストーンとも呼べる数字を挙げることができた」── Dellのケビン・ロリンズ社長兼CEOは10月31日、都内のホテルで記者会見を行い、今や累計で1億5000万台ものシステムを出荷するに至った同社の好調ぶりをアピールした。デスクトップが1万1300万台、ノートブックが3100万台、そして成長著しいサーバは600万台をそれぞれ突破した。
Dellは2002年4月、売上高を当時の312億ドルから5年で倍増させるという大胆な「売り上げ倍増計画」を掲げたが、今年1月末に締めた2005会計年度に492億ドルを売り上げ、目標達成に目処がついた。CEO正式就任からわずか半年と少しのロリンズ氏は今年4月、2009会計年度に年商800億ドルを目指す新たな倍増計画を打ち出している。
ロリンズ氏は東京の記者会見でもこの年商800億ドル計画について説明し、「Dellが今後も成長を続けるには、ITプロバイダーとして領域を拡大することが必要。年商800億ドルの目標を達成するには、成長分の80%はデスクトップ以外から求めなければならないし、売り上げの55%は米国以外に求めなければならない」と話した。
7月末に締めた第2会計四半期のハイライトとしてロリンズ氏が紹介したのは、サーバ/ストレージおよびサービスの好調な売り上げだ。
第2会計四半期、同社のサーバの出荷台数は25%の伸びを見せた。
「市場のトレンドにうまく乗っている。業界標準のIAサーバは台数では市場を独占する9割に達し、売り上げでも半数を占めるまでに成長している。データセンターでは床面積当たりの性能向上が求められているが、デュアルコアXeon搭載サーバはこれにこたえるものだ」(ロリンズ氏)
もちろん彼は、同社がIAサーバ市場の平均を大きく上回る2倍の伸びを記録し、首位HPとの差を詰めていることを付け加えるのを忘れなかった。
なお、日本法人の浜田宏社長によれば、日本市場においては4〜6月の四半期で27.1%のシェアを獲得し、NECから首位の座を奪った。「通年での首位も射程距離内に入った」と浜田氏は話す。
Dellらしいサービスも好調
年商800億ドルの達成にもう一つ欠かせないのが、サービス事業の成長だ。
第2会計四半期のサービス事業は実に41%という高い成長を遂げ、特に米国外での伸びが66%と著しい。
「サービスはDellにとって戦略的に重要。データセンター分野でビジネスを伸ばすうえで必要不可欠だ」とロリンズ氏。
Dellのサービスは、同社が提供するハードウェアがきちんとしたソリューションとして届けられることにフォーカスしている点で、競合他社のそれと異なる。
ロリンズ氏は、「企業がITサービスをアウトソースしてしまうのではなく、そのIT部門の力を最大限に引き出せるよう支援するのがDellのサービスだ」と違いを説明する。
彼は金融大手、UBSが3万台のデスクトップやノートブックをWindows XPに更新する際に、ハードウェアのリプレースおよび管理のために「デル・マネージド・サービス」(DMS)契約をDellと結んだことを紹介した。
DMSは、クライアントPCの設置およびソフトウェアのインストール代行から資産管理、障害発生時の問い合わせ対応を行うヘルプデスク、オンサイト保守サポートなどを代行し、TCOの削減とクライアントPCの効率的な運用を支援するサービス。日本でもこの9月には中堅/中小企業向けの「DMS Light」を追加したばかりだ。
「デスクトップPCがコモディティー化してシンプルになると、付帯サービスもよりシンプルなものが求められる。われわれのサービスはより高度で洗練されたものになるだろう」とロリンズ氏。
ロリンズ氏が年商800億ドル達成のターゲットイヤーする2009年は、世界のIT市場規模は8560億ドルと見込まれている。意欲的な計画は世界市場の約9%をDellが占めることを意味している。現在、5%から6%の占有率をやはり倍近くまで引き上げる必要があるわけだ。市場全体の成長余力が限られている中、同社は事業領域を拡大することで計画の達成を狙う。
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