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Web2.0型ビジネス研究 オープンなSNS編Web2.0型金融ビジネスは成り立つか(2/2 ページ)

Web2.0の世界におけるビジネスの特徴について考えるにあたり、前回に続いてもう1つ、特徴的なソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を紹介する。ユーザーのプロファイリングを一層明確にし、より効果の高い広告モデルの展開を狙う、「オープンなSNS」だ。

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「ユーザーの顔が見えるメディア」で狙うビジネス

 竹本氏によると、ネットでもうける手段は3つ。課金か広告かEC。エキサイトはゲームや音楽配信で課金収入を得ているが、自らを「メディアカンパニー」と位置づけるが故に、広告を主たる収益源にしている。そのため、競合とは差別化を図った、特徴的な広告が見られるサイトでもある。その効果をより一層引き出すために、メディアとしてターゲットを明確にする必要がある。その手段として、「エキサイトネームカード」を使った「オープンなSNS」というWeb2.0型サービスを導入したということだろう。

 「顔の見えるメディア、つまり、どういう人が見ているサイトなのか。ターゲティングメディアで重要なのはこのユーザープロファイルだ。それが『エキサイトネームカード』ではっきりさせられるのであれば、(広告主に提案するときに)いろいろな資料を提示する必要もない。ユーザーの『エキサイトネームカード』を見れば、それは一目で分かるから」(竹本氏)

 もちろん、広告以外の「欲」も見え隠れする。「エキサイトネームカード」の交換が進み、彼らの間で信頼性が醸成されていけば、お互いで推薦し合ったモノが売れるのではないか、と。どこかですでに始まっているビジネスと同じようなモデルが想定されている。

 こうして、50万所帯の「エキサイトブログ」に続き、エキサイトにおける新たなコミュニティづくりの軸として生まれたのが「エキサイトネームカード」である。初年度で、「エキサイトブログ」のアクティブユーザー数と同じ20万ユーザー獲得を目指している。すでに2万5000人を獲得し、5000〜6000人/週のペースで増えているという(6月1日現在)。その「2軸」に続き、8月には新たなサービスを始める予定だ。Web2.0時代は、「エキサイト」ユーザーを「3本軸」でプロファイリングするつもりなのである。

「オープンなSNS」の基盤となる「エキサイトネームカード」

http://namecard.excite.co.jp/

 「エキサイトネームカード」は、その名の通り「ネット上の名刺」を意味する。

 登録手続きを済ませば、ネームカード用のページが一人ひとりに与えられる。そこに、性別、血液型、職業、所属組織、生まれた場所、現在住んでいる場所、よく出没する場所や、スポーツ、本、趣味、グルメといったカテゴリー別に関心のある事柄を掲載する。ブログを持っていれば、そこへのリンクを張ることも可能だ。そのほか、お気に入りのサイトなどへのリンクも張れる。こうしたネームカードをほかの人と「交換」すれば、その相手は自分のネームカード内の「友達リスト」に入り、リンクが張られる。こうして「友だち」の輪を広げていこうという試みである。

 ネームカードを公開すると、掲載した自己紹介情報のそれぞれがキーワードとなり、そのキーワードについて寄せられた情報が見られる1つのページ(「フォーラム」と呼ぶ)ができる。そこでのやりとりが活性化すれば、キーワード(つまりテーマ)ごとにコミュニティができることも考えられる。

 例えば、フットサルが好きでよくプレーするのであれば、「スポーツ」の欄に「フットサル」と入れたネームカードを作成し公開する。すると、「フットサル」にリンクが張られ、クリックすると「『フットサル』フォーラム」に飛ぶ。そこには、フットサルに関して寄せられた情報やそのコミュニティに参加している人がリストアップされ、その人のネームカードなどに飛べるリンクが張られている。

 「オープンなSNS」と呼ぶゆえんは、通常のSNSのような招待制ではなく「友だち」の紹介がなくても参加できるから。その後、「ネームカード交換」などを繰り返して、「友達リスト」や「フォーラム」といったところでさまざまなSNSを築いていく。ちなみに、「エキサイトネームカード」を持つと、「エキサイトブログ」の画像容量(通常30メガバイト)が1ギガバイトまで拡張される。



エキサイト代表取締役社長、山村幸広氏の「エキサイトネームカード」画面
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