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インテルのOEM各社も歓迎する「Montecito」の登場(2/2 ページ)

「Montecito」の開発コード名で呼ばれていたItanium 2プロセッサ9000がついにリリースされた。ターゲットとしているハイエンド分野ではインテル自身のx86系XeonやPower、SPARCなどの競合がひしめくが、Itaniumの支持者らは同プロセッサが軌道に乗ったと主張する。

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 しかしItaniumの支持者らは、同プロセッサはついに安定した軌道に乗ったと主張している。同プラットフォームに移植されたアプリケーションの数が8000に達したこと、Itaniumをサポートするベンダーの組織「Itanium Solutions Alliance」が同アーキテクチャーに100億ドルを投資したこと、マサチューセッツ州フラミンガムのリサーチ企業IDCが2010年までにItanium市場は66億ドル規模へ成長すると予測したことなどが、そうした主張の裏付けとして挙げられている。

 HPのコックス氏は、2006年第2四半期における同社のItanium事業の収入は前年同期比で93%増となり、サーバ、ソフトウェア、サービスを含むItanium関連ソリューションの売り上げは2005年に16億ドルに達したと話している。

 自社のハイエンドサーバにItaniumを標準採用しているHPは、メインフレームやプロプライエタリなRISCプラットフォームに代わるコスト効率のよいソリューションを顧客に提供するため、独自の技術を9000シリーズと組み合わせていく方針だという。数カ月以内には、Montecitoを搭載するItaniumベースの「Integrity」システムに関する複数の発表が行われる予定だ。現在はIntegrityプラットフォームにおけるMontecitoの動作検証が進められていると、コックス氏は述べた。

メインフレーム級のプラットフォーム開発を目指す

 HPは、ローエンドのIntegrityサーバ向けのチップセットも、近々新たに発表する予定だ。同社は今年3月、複数のワークロードの処理能力を30%向上させることが可能な「sx2000」(開発コードネーム「Arches」)チップセットをリリースしている。同チップセットはMontecitoの発売に合わせて提供されるはずだったが、Intelが同チップのリリースを延期した時点で、HPはsx2000の先行発表を決断した。

 コックス氏は、sx2000チップセットと「Virtual Server Environment」などのHPの技術を併用すれば、ハイエンドなワークロードを処理する際のパフォーマンスおよび柔軟性が大幅に改善されると述べている。

 HPのユーザーが得られるメリットはこれだけではないと、コックス氏は付け加えた。Montecitoベースのメインフレームコンピュータを開発している新興企業Platform Solutionsが、HPシステムの再販を手がけることになったのだという。現時点ではまだβテスト中だが、Platform Solutionsの新たなメインフレームにはMontecitoプロセッサが搭載され、LinuxおよびWindowsだけでなく、IBMのメインフレーム用オペレーティングシステム「z/OS」も稼働させることができる。

 これにより、メインフレーム環境からアプリケーションを移行する作業が省かれるので、メインフレームの使用を止め、Itaniumの導入を検討している企業にとっては、「(移行に伴う)問題が軽減される」ことになると、コックス氏は話した。

 7月18日のイベントでは、Fujitsu Computer Systemsが、「PrimeQuest 520」「540」「580」の3種のPrimeQuest 500サーバシリーズを発表している。カリフォルニア州サニーベールを本拠とするFujitsuのマーケティング担当シニアバイスプレジデント、リチャード・マコーミック氏は、同サーバシリーズにはソケットを8個から32個まで搭載でき、現行機種と比べて2.5倍のパフォーマンスが実現されていると説明した。メインメモリの容量は現在の2倍の最大2テラバイトで、システムの販売開始は9月からになるという。

 FujitsuもHPと同様に、「eXtended Partitioning(XPAR)」などの独自技術とItanium 2プロセッサをともに利用することで、他社のシステムを凌駕する機能をユーザーに提供できるようになるとしているが、同社の場合は、堅牢な仮想化環境を実現できることにより大きな期待を抱いている。マコーミック氏は、XPAR技術を用いれば、CPUおよびメモリのみならず、I/Oのパーティショニングも可能になると述べた。

 サービスプロバイダーであるElectronic Data Systems(EDS)は、PrimeQuestプラットフォームと現行のシングルコアItaniumを併用して、ハイエンドなワークロードを処理するコスト効率のよいアーキテクチャーを顧客に提供している。同社の関係者も、新たなデュアルコアItaniumの登場がパフォーマンスの改善につながると考えているという。

 テキサス州プラーノにあるEDSでホスティングソリューション担当ディレクターを務めるティム・ハザード氏は、「コスト削減に関して顧客がわれわれに求める条件は、年々厳しくなっている。メインフレームからItaniumを搭載するFujitsuのPrimeQuestへの移行は、顧客に大きな経済的負担を掛けることもなく、運用コストの削減も可能になる有効な手段だ」と話した。

 ハザード氏によれば、同社の顧客は30〜60%のコスト削減を実現できているという。

 メインフレームからの移行に関して、企業のCIOが抱える問題の大半は、PrimeQuestサーバの利用で解決できると同氏は述べる。それほどに、信頼性、スケーラビリティ、パフォーマンスが優れた製品だというのだ。EDSは1カ月ほど前からMontecitoチップ搭載システムの試用を続けており、今年後半には顧客向けの環境にもこれを導入する予定である。

 フィーバーストン氏は、Unisysが今後のサーバアーキテクチャー戦略を展望するうえで、Itaniumは中核的な技術になると述べた。

 「Itaniumは、UnisysのES7000サーバ利用者に、きわめて優れたパフォーマンスとコストメリットを与えてくれる。また、同プロセッサの基礎となっているマイクロアーキテクチャーからは、Unisysの今後のサーバアーキテクチャーにとっても非常に有益な、次世代のマルチコアItanium 2テクノロジーが生まれるだろうと信じている」(フィーバーストン氏)

 現行のES7000/oneと同じく、こうした次世代のシステムも、ItaniumおよびIntelのXeonプロセッサの両方に対応するものになると考えられる。新システムの第一弾は2007年後半にリリースされる予定だ。

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