Exchangeデータストアの変更は先送り(2/2 ページ)
Microsoftのメッセージングサーバの次期版「Exchange 2007」は従来版と同様、Extensible Storage Engineベースとなる。しかし、将来的にSQL Serverデータベースストアに統合する計画に変わりはないという。
この新しいコマンドラインインタフェースは「Exchange Management Shell」と呼ばれ、“現時点では”データストアを変更するよりも大きなインパクトをExchange管理者に与えるという。
「この次のExchangeバージョン(現在、“Exchange 14”というコードネームで呼ばれている)の計画にあたっては、ストレージ管理における最大のブレークスルーがSQLデータストアへの移行ということになるかもしれない。これについては、約半年後にはっきりするだろう」とマイヤーソン氏は話す。
MicrosoftのExchange Server製品グループのコーポレートバイスプレジデント、デイブ・トンプソン氏がeWEEKに語ったところによると、Exchangeチームは、拡張性、プログラミング性、可用性に関する顧客からのフィードバックに基づき、Exchange 2007ではJetエンジンにとどまることを決めたという。
しかし同チームはExchange 2007のアーキテクチャを改良し、これにより将来的にデータベースを柔軟に変更することが可能となったという。
「われわれがそうするのは、それが顧客のメリットになるからだ。これは、Exchangeの各将来バージョンのアーキテクチャを検討する際の基準でもある」(トンプソン氏)
しかし競合企業であるScalixの創業者のジュリー・ハンナ・ファリスCEOは、「Exchangeの基盤となるアーキテクチャは信頼性とセキュリティの問題を抱えており、その根本原因はExchange 2007でも対処されていない」と主張する。Scalixはカリフォルニア州サンマテオに本社を置くメッセージングインフラ企業で、同社の製品はLinuxとオープンシステムアーキテクチャをベースとする。
ファリス氏によると、JetデータベースをベースとするExchangeデータストアは壊れやすく、保守管理が難しいという。「これはずっと以前から知られている問題だが、Exchangeメッセージストアを変更する計画は何度も延期されてきた」と同氏は付け加える。
また、Exchangeのアップグレードは、ユーザーの電子メール環境のアーキテクチャの度重なる変更を強いるものになっているという。
「例えば、Exchange 2007の場合、64ビットハードウェアに関する要件は、ユーザーが最新製品を利用するには再びハードウェアをアップグレードしなければならないことを意味する」と同氏は指摘する。
しかしマイヤーソン氏は、Jetには信頼性問題は存在しないと反論する。MicrosoftにとってSQLストアに移行することによる最大のメリットは、特定業務向けアプリケーションやコラボレーション/コミュニケーションアプリケーションを通じて一貫したデータ管理を実現できるということだという。
「これにより、各アプリケーションの高可用性機能やディザスタリカバリ機能が一貫したものになる」(同氏)
マイヤーソン氏によると、SQLストアへの移行の狙いは拡張性と信頼性問題への対処にあるとするMicrosoftの競合各社の指摘は的外れだという。「われわれが対処しようとしているのは、SAPとExchange用に2つのバックアップアプリケーションを使用したり、SiebelとExchange用に2つの高可用性プランを使い分けていて、これらを1つにしたいと考えている顧客だ」と同氏は話す。
しかしMicrosoftの元Exchange担当幹部で、現在はワシントン州レドモンドにあるAzaleosのCTO(最高技術責任者)を務めるキース・マッコール氏によると、自社で主催するセミナーや顧客座談会では毎回、ストレージ管理、コンプライアンス(法令順守)、Exchangeの信頼性とパフォーマンスなどの問題に対処するためのアーカイビングソリューションを求める切実な訴えが聞かれるという。
「今日、Exchangeユーザーが抱えている最大の問題が高可用性問題であり、その次がストレージ管理だ。当社の顧客の中には、Exchangeのメールストアが毎月7%のペースで増え続けており、ローカルドライブの容量を拡大するだけでは電子メールのニーズに対応できなくなっている企業もある」とマッコール氏は話す。
「Exchangeストアの信頼性と拡張性の問題に対処するために、SAN(Storage Area Network)に電子メールを保存するという方式に移行しているユーザーが急増している」(同氏)
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