PC/AT戦略と同じ、パートナーらとの協業でブレードサーバを強化するIBM:Interview(2/2 ページ)
標準が確立されていないブレードサーバ市場にあって、IBMがイノベーションを武器にシェアを握っている。しかし、そうした付加価値は、「オープンさ」を次第に奪っていく危険性もはらんでいないか?
ITmedia 今回発表されたBladeCenterやSystem xは、さまざまな付加価値が盛り込まれています。そうした方向に進むと、業界標準を逸脱し、また別の「メインフレーム」を作り上げることになりはしませんか。
ジョトワニ 先ず、IBMのラックや今回発表した水冷式の冷却装置である「Rear Door Heat eXchanger」は何も特別なものではありません。Rear Door Heat eXchangerは、他社のラックにも装着できます。
次にシャーシーですが、われわれはその仕様を公開しており、だれでもこの仕様を使って製品を開発できます。350社が既に仕様をWebからダウンロードしており、実際に24社から製品が出荷されています。われわれのデザインは革新的なのですが、その仕様はオープンなのです。
業界では「blade.org」コンソーシアムが今年1月に発足していて、ブレードサーバを生かした金融や自動車といった各種業界向けのソリューションを構築しています。わたしはその担当でもあります。
既に80社が参加し、オープンスタンダードベースのソリューションについて討議しています。
ITmedia 1980年代にIBM PC/ATの仕様を公開したのとよく似た戦略ですね。
ジョトワニ そうです。しかし、今回はわれわれが儲けたいと思っています……、というのはもちろんジョークですが(笑い)
調査会社のIDCによれば、2006年のブレードサーバ市場は32億ドルですが、2010年には105億ドルに成長すると予測されています。イノベーションやBlade.Orgとのコラボレーションによって、われわれは、この市場でシェア40%を占めるリーダーです。なぜなら、オープンで複数の選択肢があるからです。
かつてのIBMであれば、デザインし、そしてすべてを提供していましたが、この5年間、われわれは非常に多くのパートナーとコラボレーションを行うようになりました。そうしたパートナーシップこそがIBMの強みとなっているのです。
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