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第4回:ディザスタ対策最後のポイント――人的/体制的な問題はありませんか?備えは万全? サーバの災害対策(2/3 ページ)

ディザスタ対策で最後に残る問題点は人的/体制的なものだ。いくらしっかりした対策ができるようにしても、それを運用する人間に間違いがあったらすべての対策は無意味になる。ここでは、どのような点をチェックすべきかを考えよう。

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Check Point 11:スタンバイ系は大丈夫か?

 自家発電機などもそうなのだが、意外に多いのが「非常時に動かない非常設備」である。これは考えてみれば当たり前の話で、普段は使わずに置いてあり、いざ何かが起こらないと使わないのだから、その時点になってようやくトラブルが発見されることになる。そんな状況を防ぐためには、普段から定期点検を行い、動作させてみるなどの管理が必要である。

 サーバシステムにおけるホット/コールドスタンバイ系も同様で、用意してあるからと安心してしまってはいけない。いざという時に動作しなければ、何の意味もないのだから、普段から電源を入れて動作を確認するといった定期点検を行うべきである。もちろん、動作中のメイン系に影響を与えるわけにはいかないので、スタンバイ系だけでも動作確認が行える手段を用意しておくべきだ。

Check Point 12:大規模災害への備えはあるか?

 ディザスタ対策といえば、大地震などの大規模災害への対策は最も気になるところだろう。ラックをしっかり固定するようなことも、大規模災害への備えであるわけだが、システムが壊滅的なダメージを被る場合を想定しているだろうか。

 システム障害に備え、運用系に加えてスタンバイ系のシステムを用意しておくことは、可用性を向上させるためによく行われる手段だ。これはメインの運用系がダウンした場合には役立つ方法だが、一般的に大規模災害時にはまったく意味をなさない。なぜならば同じマシンルームに用意されたメイン系、スタンバイ系ともに災害でダメージを受けてしまうからである。大規模災害への備えという意味ではメイン系とスタンバイ系を地理的に遠く離れた場所に設ける必要がある。

 また、バックアップについても同様だ。バックアップしたメディアを同じマシンルームや近隣のオフィスなどに保存しておくと、大規模災害時にはそのメディアもダメージを受けてしまう。そのために、せっかくのバックアップが役に立たないという事態になりかねない。これを防ぐには、バックアップメディアを複数用意し、地理的に離れた2カ所に保管すべきである(図2)。コンピュータメディアを専門に扱う倉庫業者では、こうしたサービスを提供しているところもある。


図2 クリティカルな業務ではデータのレプリケーションは地理的に離れた複数の場所に行うのが望ましい

 自社でデータセンターの場所借りをしているのなら、サーバの設置場所は明確であるが、注意したいのはホスティングだ。ホスティング事業者によっては、サーバの設置場所が明確ではなく、場合によっては国外の場合もあるので、企業で使う場合は設置場所が明らかなホスティング事業者を利用すべきであろう。

 通信回線を利用してストレージを遠隔地へ分散するというのも大規模災害に備える手段の一つだ。例えば、ストレージシステムの中には、履歴ファイルを遠隔地のストレージへ転送するリモートコピー機能を備えているものがある。このような機能を使うことで、東京と大阪の2拠点に同じデータを持つようにすれば、どちらかの拠点が壊滅的なダメージを受けてもデータは保護される。大規模災害への備えが重要視されている現在、遠隔地で同じデータを持ち、維持することや遠隔地にスタンバイ系を設けるソリューションは今後ますます重要となってくるだろう。

 大規模災害への備えもやはり保険と同じである。どの程度のコストがかけられるか、あるいはどの程度ミッションクリティカルであるかを勘案して行うべきである。金融や通信事業者のような、クリティカルなサービスでは十分な備えが必要だろう。しかし、極端な話、東京で大規模停電が起こっているような状況下で、東京のコンテンツプロバイダに対して文句を言う人が果たしているだろうか。この場合にはシステムを運用し続けることが重要なのではなく、インフラが復旧した後にシステムを元に戻せるかが重要となる。

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