地図利用による可視化の実現へ:地図情報がビジネスチャンスを見つけ出す! 第1回
急速にコモディティ化する地図情報サービス。本企画ではこれから7回にわたってビジネスにおける電子地図の可能性と今後の行方を探る。
ここにきて、CRMなどの基幹システムに地図情報を連携させたいという企業が多い。その理由の1つが地図による可視化だ。そんな中で登場したグーグルマップスは、地図利用への喚起となり、導入の垣根を一気に押し下げてくれた。あの軽快な動きを見た企業担当者へのインパクトは強く、地図における表現の可能性を感じたことだろう。
しかし、グーグルマップスはコンシューマレベルでの位置検索には向いていても、今のところ企業の課題を解決している例は少ないようだ。自社の顧客がどこにいるのか、なぜその地域に多いのかといった疑問は多く、また地域のポテンシャルと自社の商品との比較などを可視化するまでには至っていない。その、見せるための手段として、空間情報、特にGIS(地理情報システム)が利用されるケースが増えている。
GISをプラットフォームにした事業戦略を実施
これまでも、企業は自社の会員データベースなどを活用して商圏分析をしてきたが、店舗(商品)と顧客との距離感が欠如しているケースが多かった。従来の経験や勘に頼って予測していたものが、地図に顧客を重ねるとはっきりとした購買傾向が見えてくる。そうすることによって、店舗の商品構成を変更したり、在庫数を変えたりなどの方策が打てるようになるのだ。
また、企業の合併統合が進む中、グループ内各企業で眠っている情報資産を地図情報で統合すると、リソースや分析の結果が大きく変わってくるという意見もある。1企業で分析を終わらせては本質が見えてこないということだろう。店舗や物流拠点など重なる箇所や手薄な箇所において、いかに効率的に経営資源を分散・投資するかが重要になっている。とくに大企業の場合、多くの関連会社や子会社が存在するため、それらをひとかたまりにして、GISをプラットフォームにした事業戦略を実施したいという要望が強くなっている。
複雑で高価だったGISは、一部署一端末のスタンドアロンで利用されていたが、2000年頃になってようやくイントラネット型へとシフトし、そして現在、インターネットによる幅広い利用形態へと変化した。通信インフラが整備されたことで、ASPや携帯電話での利用が進む新しいGISの姿とはどのようなものだろうか。
次回より、その先進的なサービスを展開する各社の事例を見ていこう。
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