ハードディスクの中身を誤って消した場合のファイル復旧方法:Beginner's Guide(2/2 ページ)
重要なファイルを誤って消してしまい涙で枕をぬらすことになる前に、事実上、あらゆるファイルシステムのパーティションを復元し、かつ、たいていの種類のファイルを復元できるこの方法を知っておいてほしい。備えあれば憂いなし、である。
復元の手順
PhotoRecは、実行元のディレクトリにファイルを復元する。わたしの場合は、/var/recoveryディレクトリに移動してからphotorec_staticを実行した。これ以外の方法でPhotoRecを実行する場合は、実行可能ファイルを/usr/binディレクトリにコピーするか、プログラムの格納場所を完全パスで指定する必要がある。
PhotoRecのインタフェースは分かりやすい。最初の画面では、復元したいハードディスクを選択する。今回の例では、/dev/hdbを選択した。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
次に、パーティションの種類を選択する。今回の例では、「Intel/PC partition」を選択した。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
次の画面には、選択したハードディスク上のパーティションの一覧が表示される。今回の例では、全ハードディスクを対象としてパーティションの復元を行いたいので、1番目のオプションを選択した。ただし、このオプションを選択する前に、[File Opt]メニューを選んで復元するファイルの種類を選択しておく必要がある。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
PhotoRecではさまざまな種類のファイルを復元できるが、わたしが復元したいのはWordドキュメント、AVIビデオファイル、JPG画像ファイル、MPEGビデオファイルだけなので、これらのオプションを選択した。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
ファイルの種類を選択したら、前の画面に戻ってハードディスクのスキャンを開始する。スキャンプロセスは自動化されている。わたしのマシンでは完了までに数時間かかった。PhotoRecの処理が完了すると、復元されたファイルが「recup_dir.x」という名前の複数のディレクトリに格納される(xにはディレクトリ番号が入る)。復元されたファイルには、元のファイルの名前は含まれていない。その代わりに、復元された順番を示す番号と、ファイルの種類を示す拡張子が割り当てられている。例えば「f89.avi」は、89番目に復元されたファイルで、種類はAVIファイルである。
復元処理の後始末
これでファイルをすべて復元できたが、ハードディスク上にたくさんのファイルができてしまった。1つ1つのファイルを手動で確認していくのでは時間もかかるし面倒である。そこで、わたしはまず/var/recoveryディレクトリ内にVID/、DOC/、JPG/という3つのフォルダを作成し、次のコマンドを使用してファイルをそれぞれのフォルダに振り分けた。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
これで各ファイルが種類別のフォルダに振り分けられたが、これで一件落着したわけではない。今回の事件が発生する前のわたしのハードディスクには1万個以上の画像が格納されていて、それぞれの画像サイズは2Mバイトほどあった。PhotoRecは、復元プロセスの際に見つかった画像をすべて復元するので、その中には、例えばWebブラウザキャッシュ内の画像ファイルなども含まれている。つまり、不要なファイルも山ほど復元されているわけだ。こうした雑多なソースからの画像ファイルを取り除くために、1Mバイト未満のファイルをSMALLというフォルダに移動させた(このフォルダは、念のためその中に必要なファイルがないと確信が持てるまで残しておいた)。これらのファイルをSMALLフォルダに移動させるには、次のコマンドを使用した。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
PhotoRecはファイルの名前を復元しないが、ラッキーなことに、復元した写真ファイルには撮影日時や撮影情報などのEXIFメタデータが含まれていた。そこで、Jheadコマンドラインユーティリティを使用してこのメタデータを抽出した。具体的には、JPGフォルダで次のコマンドを実行した。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
このコマンドでは、jpgという拡張子を持つすべてのファイルの名前を、タイムスタンプを含んだ「YYYYMMDD-HHMMSS.jpg」という形式に変更している。タイムスタンプが同一のファイルには、「YYYYMMDD -HHMMSSx.jpg」という名前が付けられる(xの部分には、a、b、c……という英字が入る)。これらの写真がすべて同じデジカメで撮影したものならば、同じタイムスタンプを持つファイルはまったく同じ写真のはずである。そこで、次のコマンドを使用して重複ファイルをDUPSフォルダに移動した。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
各ファイルにタイムスタンプでラベルを付けることができれば、これらのファイルを撮影した年や月に応じてフォルダに分類できる。
もしわたしが写真ファイルにキーワードやコメントを追加していたら、libextractorを使ってJPEGファイルからキーワードを抽出し、それに基づいてファイルをフォルダに振り分けることも可能だったはずだ。しかし残念ながらそうはしていなかったので、復元した写真を何時間もかけて手動でフォルダに振り分けなければならなかった。しかしAVIファイルについては、libextractorを使ってそれぞれのビデオのコーデック、フレームレート、解像度の情報を判別できた。
復元を防ぐ方法
わたしとしてはファイルをこれほど「簡単に」復元できて助かったのだが、これは逆に言えば、自分の古いコンピュータやハードディスクを廃棄した場合に、重要なデータがたやすく復元されてしまうということでもある。しかし、特別なやり方をすれば、ハードディスクのデータを復元不可能な方法で消去することができる。Whitedust Securityは、安全なデータ消去の方法として次の例を挙げている。
- 既存のデータを価値のないデータで上書きする
- ハードディスクを酸液槽に漬ける
- ハードディスクを消磁装置で消磁する
- ディスクを火で熱する
ハードディスクを使用不能にしたくない場合は、既存のデータを上書きするか、ハードディスクを消磁するのがよい。消磁装置を利用できないときは、Wipeのようなプログラムを使用して、データを復元不可能にするパターンで上書きする。心配な場合は、気が済むまでデータを何回か繰り返し消去するとよいだろう。22回繰り返すよう勧める人もいれば、絶対安全にするなら99回繰り返す必要があるという人もいる。PhotoRecのようなツールだけを使った復元への対策ならば、3回か4回繰り返せば十分だと思われる。
関連記事
- ディスクドライブのデータ完全消去ツール
世に数あるデータ完全消去ツールのうち、今回wipeを取り上げるのは、特定パーティーション上にある1つのブロックだけを消去するなど、実行時に指定可能なオプションがほかのツールよりも豊富に装備されているからである。 - ハードディスクの中身を誤って消した場合のファイル復旧方法
重要なファイルを誤って消してしまい涙で枕をぬらすことになる前に、事実上、あらゆるファイルシステムのパーティションを復元し、かつ、たいていの種類のファイルを復元できるこの方法を知っておいてほしい。備えあれば憂いなし、である。 - まさかのファイル消失時にユーザーを危機から救うMagic Rescue
消してはならないファイルを削除して青ざめているあなた。ブロックデバイスにある特定のファイルタイプを検索して、指定ディレクトリ中に一括抽出してくれるMagic Rescueならあなたの助けになるかもしれない。 - ファイルシステムごと暗号化する方法
単純なファイル単位での暗号化も便利だが、大量のファイルを保護する必要がある場合などには、ファイルシステム全体やディスク全体をまるごと暗号化してしまう方がより便利なこともある。ここではそうした方法を幾つか紹介しよう。 - ファイルのセキュリティを強化する各種の暗号化ツール
システム全体をカバーするセキュリティソリューションが必要とされる一方で、ファイルやディレクトリ単位で暗号化を施したいという状況も存在するはずである。ここでは後者の観点から役立つ暗号化ツールを幾つか紹介することにしよう。
Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.