一般向け地図サービスのビジネスへの応用――サイバーマップ・ジャパン:地図情報がビジネスチャンスを見つけ出す! 第7回
一般ユーザーに親しまれていた地図情報サービスだが、これからはビジネス利用への可能性も広がる。無料地図サービスの老舗マピオンを運営するサイバーマップ・ジャパンに、今後の地図利用への可能性を聞いてみた。
マピオンを運営するサイバーマップ・ジャパンは、1997年に無料の検索サービスとしてスタート。不特定ユーザー向けに地図データを配信する事業者が増える中、現在も月間700万〜800万アクセスを維持している。公式サービスでは、以前のクリック移動式から、Ajaxを利用したフリースクロール移動式へと進化して使い勝手を向上させている。また、周辺スポット検索の機能強化により、駅やバス停、宿泊施設や不動産情報などの絞込み検索も快適に行えるようになった。
企業向けのソリューションでは、拠点案内をベースにしたWebサイトの品質向上と課題解決をテーマに進めてきた。「現在では問い合わせの質が変化しており、地図コンテンツを使ったサービスを始めたいという顧客が増えています。企業だけではなく、ポータル事業者からの引き合いも多く、地図情報を自社のビジネスやサービスに活用する傾向が強まっているようです」と語るのは、コンシューマ事業部のサービス企画グループでマネージャーを務める荒木たけのり氏。無料地図の登場によって、地図のライセンス販売を行ってきた同社のビジネスが失われるのではなく、むしろ可能性が広がって新しいシナジーを生んでいるという。
同社の事業は、マピオンのシステムを企業のサービスに利用するASPモデルが中心となっている。また最近では、店舗検索から管理して欲しいという要望から、顧客の情報を預かって地図も提供する形態も多いという。モスバーガーの店舗案内の例では、同社の高級ハンバーガー「匠味十段」などを購入できる店舗情報をマピオンが預かり、地図上から条件検索で絞れるようになっている。また、みずほ銀行のコンビニATM検索の例も直感的地図の好例だ。ATMに関する顧客からの問い合わせが増加したため、コンビニATMの情報だけを本支店検索と独立してマピオンが構築した。
ソリューション営業1グループのマネージャーの福家三喜雄氏は、「データをお預かりする場合、顧客はシステムの増強やインフラの追加などは必要なく、当社がデータを登録してWeb周りのページデザインやインタフェースも構築します。また、データが複雑に分散して統一できない場合も多く、その場合はヒモ付けして投入できるような形にするところまで手がけています」と語る。
マピオンの今後の目標は、企業が欲する見込み客と、商品やサービスとのマッチングのチャンスを地図上で作ることだという。「企業とその顧客とのコミュニケーションやプロモーションが、地図上で実現できる機能を提供していきます。顧客が必要とするユーザーを囲うことで、その企業の価値を高めることができるわけです」(荒木氏)。また同氏は、競合との差別化に関して「地図情報は地味なものですが、当社の試験的サービス『キョリ側』など、生活に近いサービスを提供することで、SNSやブログなどの新しいメディアと地図を結びつけるソリューションも考えていきたい」と語っている。
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