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魅力的で住みたい市とそうでない市は何が違う?驚愕の自治体事情(1/2 ページ)

日本国内にあるすべての市を対象とした「地域ブランド調査」の実施により、最も魅力的な市、最も住みたい市の姿と、そこに至る方法論が見えてきた。あなたの住む市はランクインしているだろうか。

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このコンテンツは、オンライン・ムック「驚愕の自治体事情」のコンテンツです。関連する記事はこちらで一覧できます。


 全国で最も魅力的な市は札幌市、最も住みたい市は先ごろ米国の有力債券格付け機関のスタンダード&プアーズから「AA-」の長期発行体格付けを受けた横浜市――国内にあるすべての市を対象とした初の「地域ブランド調査」からこのような結果が明らかとなった。

 同調査はブランド総合研究所が2006年8月に全国779市2万4536人に対し、全国の市の認知度、魅力度、情報接触度、イメージ、観光経験/意欲、居住経験/意欲など103項目について調査したもの。同社は約200万人の消費者モニターを抱えており、その中から地域、年齢、性別の3項目をベースに統計的に偏りのない形で回答を分析、実際の人口の縮図となるように再算出を行った(ウエイトバック集計)。

 ブランド総合研究所代表取締役の田中章雄氏は「平成の大合併で新しい市が幾つも誕生しており、“市のかたち”が見えにくくなっている。市のブランド力を消費者の視点から“見える化”することは、地域ブランドの確立や地域活性化に取り組む際の評価指標や目標値設定のための基礎データとして役立つ」と今回の調査について語っている。

人はなぜ北海道にあこがれるのか

 同調査の総合指標といえる魅力度ランキング・トップ20市は以下のとおりだ。

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 1位の札幌市は80%以上の人が魅力的と感じている。市の魅力について札幌市を上回る数値となったのは京都市。「とても魅力的」との回答が全市の中で最多となった京都市だが、反面、「あまり魅力がない」「まったく魅力がない」という否定的な意見が札幌市を上回っていたため、魅力度の総合点で5位という結果に終わった。京都市が「魅力的でない」理由として、「駅が新しくなったことで、京都らしさを失った」「交通渋滞が激しい」といった意見が寄せられていた。

 次にこの魅力度がどのような要素によって形成されているかについてみると、「観光意欲」が最も強く、ついで「住みたい」となっている。魅力度で北海道が10位までに4市入っていることは、「北海道に対するあこがれが強い」(田中氏)ことを物語っている。北海道に実際に住んでいる人にとっては寒くて雪が多いことはマイナス要因だが、観光で訪れるほかの地域の人にとってはあこがれとなることもあるようだ。実際、先日も、北海道倶知安市のパウダー状の雪を求めて、オーストラリアからのスキー客が急増しており、同市の土地価格が上昇しているという報道があった。

魅力はストーリー性から生まれる

 情報接触度のランキングを見ると、1位富良野市、2位小樽市、3位横浜市となっている。「北の国から」「Love Letter」や「踊る大走査線」「富豪刑事」などのドラマや映画の影響は非常に強く、また、旅やグルメに関する番組によって、そのイメージが補強されるという関係にあることが分かる。

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 田中氏は特に「情報接触度で重要なのはストーリー性」と明かす。露出度だけでみると、事件やニュースなどの方が影響度は高いが、ドラマの影響度が高いのは、消費者がそのストーリーに自分を投影していることが多いためであるいう。「ストーリー性を感じさせない露出は点の露出に過ぎず、消費者にインパクトを与えることができない。その意味では、自治体のホームページは改善の余地が十分にある」とWebにおけるユーザーと自治体の第一次接点の改善を訴える。

 情報接触度で「旅・グルメに関する番組」の影響度が高いのも、点の魅力ではなく、一連の行動につながるストーリーを提供するからだといえそうだ。

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