通学安心システムが目指す「正常な地域環境」とは――岐阜県岐南町:驚愕の自治体事情(1/3 ページ)
岐阜県岐南町では、2007年1月よりICタグを使った登下校確認システムを導入することを決定した。自治体ぐるみでの導入は日本で最初になるこのシステムについて、岐南町生涯教育課の森弘敏課長にその狙いを聞いた。
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児童を対象とした暴力犯罪や性犯罪が連日のようにニュースで報じられる。一人で公園で遊ぶ、といった一昔前であればどこででも見られた光景は、もはや夢物語と思われるほどに、児童の安全が問われている。
児童の安全、特に登下校時の安全性を高めるべく、ICタグ(RFIDタグシステム)を使った試みが全国各地で広がっている。各地で実証実験が行われ、一部の私立小学校では既に導入されているが、自治体の取り組みとして地域ぐるみで実際の運用に至っている自治体はまだ存在しない。
そんな中、岐阜県岐南町では市内にある3つの小学校の生徒を対象に、RFIDタグシステムを使ったユビキタスネットワークによる登下校確認システム「通学安心システム」を2007年1月より導入することを決定した。自治体ぐるみでの導入は日本で最初の事例となる。この取り組みについて岐南町生涯教育課の森弘敏課長に話を聞いた。
通用門の通過情報を読み取って登下校状態を確認。保護者にはメール配信も
2007年1月より、岐南町の3つの町立小学校(北小学校・西小学校・東小学校)に導入される「通学安心システム」の概要は以下の通りである。
- ランドセルに取りつけられるICタグを児童に配布(保護者が希望した児童のみ)
- 各小学校の通用門3、4カ所すべてにタグリーダーを設置
- 登校時と下校時の2回の通過データをタグリーダーが受信
- 希望のあった保護者には通過(=登下校)情報をメールで配信
- タグリーダーと校舎に設置された無線親局を無線LANで接続し、各小学校のサーバで登下校データを記録
- 岐南町地域イントラネット光ファイバー網を利用し、各小学校の登下校データを岐南町役場でも共有
- 岐阜情報スーパーハイウェイを利用し、岐南町役場からVRテクノセンター(岐南町「通学安心システム」の構築・管理を行う第3セクタ。詳細後述)の「通学安心システム」サーバへ接続、情報を記録・管理
児童が身につけるICタグのサイズは70×30×6ミリ。通過情報はタグリーダーからID番号の送信という形で行われる。導入されれば、「ちゃんと登校したのか?」「まだ学校にいるのか?」「登下校に不自然な時間がかかっていないか?」などをチェックでき、事件事故に巻き込まれた可能性のある場合などに、早急に対処することが可能になる。
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