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教育現場にFOSSを普及させるにはMagi's View(2/3 ページ)

教育制度の中にもフリー/オープンソースソフトウェアは急速に普及している。しかし、FOSSの採用は増えているものの依然として大きな障害がある。ここでは、学校へのFOSS導入の効果的な進め方を知るために、この分野のベテラン3人に話を聞いた。

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効果的な導入方法

 抵抗を和らげるためには小さな範囲から始めるように、と経験豊かなFOSS支持者たちは勧めている。一般に学校では生徒3人につき最低1台の割合でコンピュータが必要とされているが、FOSSへの移行は学区全体で一斉に行うのではなく、クラスで実際にPCを活用できるようにする前に演習室にある20〜40台のPCをFOSSに移行させ、その上で1校で移行を実施することが、より現実的な目標となる。ハリソン氏の経験によると「1校がFOSSを多用するようになれば、その状況が地域全体に広がる。この過程には組織的なもの以上の勢いがあるが、口コミの効果によるところが大きい」

 アーカイレシャン氏は自身の経験から、FOSSをはじめて試す場合は、必要であれば撤回も可能な試験的プログラムとして提案することを勧めている。同氏もハリソン氏も、古いコンピュータをシンクライアントとして利用して既存の実験室を再利用するのが特に効果的な方法だと述べている。新品のPCを数十台も買いそろえる必要はなく、新しいサーバを1台用意してK12LTSPのようなディストリビューションをインストールし、おそらくRAMを幾らかアップグレードするだけで済むのだ。こうしたハードウェアのアップグレードはいずれ必要になるものなので、万一FOSSの試みが失敗しても、アップグレードにかかった費用は少しも無駄にならないことをFOSS支持者は強調することができる。

 その上、この方法によって出費が抑えられることは明らかである。ハリソン氏が指摘するように、多くの専門家がサポートを敬遠しつつあるOS X以前のMacが手元にある場合、このやり方は特に魅力的である。アーカイレシャン氏も次のように述べている。「われわれは実際にこうした古いコンピュータの寿命を延ばし、廃棄されるのを防いでいる。環境の面でも効果があるわけだ」

 最初にユーザーがFOSSインストール環境で作業を始める際には、FOSSの利点に惚れ込む教員に特別な注意の目を向け、彼らを巻き込むことに力を注ぐようにハリソン氏は述べている。「中には感化されやすい教員もいる。多くの場合、こうした人々を探し出して熱意を煽り、FOSSの支持者にすることができれば、外部の誰かを支持者にするよりもずっと効果的だ」。そのような教員の例として、ハリソン氏はトラスク氏の名前を挙げている。

 そのハリソン氏の評価をトラスク氏自身も認めている。「Linuxについて何か新しいことが分かるといつでも、興奮のあまり皆に知らせずにはいられなくなる」。トラスク氏が最初にGNU/Linux派に転向したのは、Windows NT環境がクラッシュし、できるだけ早急にもとの機能を回復させなければならなかったときだったが、彼はすぐにメイン州の学校組織における主要なFOSS支持者の1人になった。

 「わたしの興奮にはいくぶん伝染性のものだったに違いない」とトラスク氏は語っている。というのも彼はやがて州の各地にいる技術責任者に話を伝えたからだ。トラスク氏がGould AcademyのDrek Dresser氏とともに開催してきたNortheast Linux Symposium(北東Linuxシンポジウム)は、今では教員とFOSSの権威者が集う年次会議になっている。もっと最近では、ニューハンプシャー州とマサチューセッツ州でのワークショップもトラスク氏は実施している。これほどの熱心さを示してくれる人はあまり期待できないが、学校においてFOSSを成功に導くのはトラスク氏のような人々である。よって、草の根レベルで活動するすべての支持者は、こうした人材の募集と発掘を大きな目標の1つにする必要がある。

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