「ワイヤレスは基幹でも十分使える」――米Meru Networks社長
独自の無線LAN技術により、VoWLAN(無線VoIP)市場でメインプレーヤーの座を狙う米Meru Networks。イハブ・アブ-ハキマ社長は、無線LANも企業内の多様なアプリケーション通信に耐えるだけの信頼性がなければならないと力説する。
「無線LANを企業のプライマリネットワークとして使えるようにするという姿勢が競合他社との違いだ」――米Meru Networks代表取締役社長のイハブ・アブ-ハキマ氏が来日、12月19日に行った記者会見で、同社のビジネスの方向性についてこう語った。
同社は2002年の設立以来、無線LANが有線のアクセサリ的なものではなく、企業の基幹ネットワークに使われるようになるべきだという一貫した考え方の下、さまざまなアプリケーションに対応できる無線インフラ作りを目指している。業界標準に準拠しながら、端末の収容数、チャンネル間の電波干渉、QoSコントロールといった、現在のIEEE 802.11規格が抱える課題を解消する製品を投入してきた。また、10月には戦略製品「Radio Switch」を中核にアクセスポイント(AP)間をすべて無線接続してメッシュ状のフルワイヤレス環境を構築する「Wireless back born systems」(WBS)のソリューションも発表している。
規格で定められた周波数帯やチャンネルの中で、自社のノウハウを生かしてQoSが保たれた音声/データの共存環境を作る、いわば標準を補完するソリューションがMeruの持ち味でもある。VoIPとの親和性が高いことが評価され、国内においても大阪ガスでの無線IP電話の大規模導入を始め、イトーキ、サッポロビール、日本コムシス、NTTコミュニケーションズなどでモバイルセントレックスの構築事例を増やしつつある。国外では、欧州の大学で早くもWBSを導入した事例も出てきた。
「CiscoやAruba(Wireless Networks)などのライバルは、広範なアプリケーション通信に対応する手段を提示しないまま、ここ1年で企業向け無線LANへのフォーカスが弱まってきているが、われわれの方針は、あくまで信頼性のある無線環境を企業に約束するという点で揺るがない」とアブ-ハキマ氏は説明する。
同氏は2007年の構想にも言及。製品の強化については、無線LANスイッチ側でRFIDのサポートやセキュリティ/トラッキング機能の強化、AP側では一層のスケーラビリティの強化を図るとした。さらに次世代高速無線LAN規格、IEEE 802.11nのドラフトに準拠する製品のリリースも予定しているという。
「11nになっても、チャンネルボンディング(帯域幅を束ねて通信できる帯域を広げる手法)で電波干渉の問題が完全に解決できるわけではない。Meruは11b/gの混在環境でスループットが落ちるという課題をクリアしているように、標準に準拠しながら、そこに残されている課題に対してソリューションを提供していくだけだ」(アブ-ハキマ氏)
アブ-ハキマ氏は、VoIPやデュアル無線端末などの音声系が2007年の無線LAN市場を引き続きけん引していくだろうと分析する。「日本で富士通、日立製作所、沖電気といったパートナーやSIerとの協業を進め、音声だけでなく、ビデオその他すべてのアプリケーションに対応するインフラ作りでリーダーシップをとり続けたい」。
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