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「ソースタギング」で見えない売れ筋を発見!新局面に入った電子タグ活用(2/3 ページ)

電子タグ活用の実証実験は過去にも行われてきた。この2月に行われた実験は卸だけでなく、製造サイドも巻き込んだ取り組みだ。コスト削減だけでなく新しい情報活用の可能性が注目される。

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世界でも最先端の試みに寄せられる期待

 2月6日、今回の実験の視察会が京王百貨店新宿店で開催された。そこで挨拶に立った経済産業省、商務情報政策局 商務流通グループ 流通政策課長の濱辺哲也氏は「製造過程から電子タグを貼付するという試みは、先進的なシステムを誇る米国のウォルマートなどでも見られないもの。製造から卸、小売まで一体となった取り組みで電子タグ活用の新しい一歩を踏み出した」と話した。

 百貨店側にとって、このようなシステムはまずCSの観点から出発している。靴選びでまず大変なのは、店頭であれこれと商品を履き、サイズや形、色の趣味が自分とぴったり合うものを探すことだ。

 「同じもので、もう少し小さめのサイズは?」と販売員に尋ねると、「少々お待ちください、在庫を確認して参ります」といって小走りに裏の方へと入って、なかなか戻ってきてくれない、という体験をした人は少なくないはずだ。百貨店側もこのことは承知していて、「お客様をお待たせしない仕組み」を探していたわけだ。

 客を待たせる時間が長ければ長いほど、販売の機会は減少していく。客の側から言わせれば、商品の確認に待ち続けるのはつらいし、忙しい販売員に何度も在庫確認に走らせるのは、気が引けるというものだ。

 今回のシステムを使えば、客は販売員に遠慮することなく、パネルの上に靴を載せるだけで在庫を確認することができる。もちろん、使い勝手が分からない人や販売員と話をしながら買い物をしたい人も、販売員と一緒に使いながら商品を選ぶことができる。

共有データベース構築の狙いとは?

 今回の実験でもう一つ新しい取り組みとされたのは、共有のデータベースを構築して、共同利用型のシステムを運営したことだ。一社で導入するよりもはるかにコスト削減が期待できる。このシステムは来年度にも正式に導入され稼働されるという。

 製造現場で電子タグを付けることと、共同システムの開発が今回の取り組みの大きなポイントだ。

 製造現場で専用のプリンタを使ってJANコードと一体となったソースタグを印刷し箱に貼り付けていくということは、物流段階でのタグの貼り付け作業をゼロにしてしまう。また、サプライチェーン全体での検品効率、伝票作成の省力化の効果も期待できるという。

 製造現場には負担が増えるようにも思えるが、共同運営するデータベースシステムの情報をサプライチェーンの担い手として収集することが可能になる。

 製造ラインでタグを貼り付けるコストを抑える工夫をしながら、データベースから得られる情報によって効率的な生産計画を立てることができるのではないだろうか。

 在庫確認のデータが得られるというのは大きいはずだ。生産する靴はすべての種類を同じ量で製造することはない。少なめに生産した製品が、売り場で頻繁に在庫確認されているとなれば、次の生産計画に生かすことができる。原則的にそれら情報がリアルタイムに近い状態で分かるのだ。販売された結果の情報は得られても、販売の現場で日々繰り返される、客の商品に対する動きを知ることができるのは、メーカーにとっても大きなインパクトを持つはずだ。

 実際、今回の実験で「サイズだけでなく、ヒールの高さの情報なとば検索できないのか」「PCに映し出された、パネル上の靴の画像をプリントするサービスはないのか」といった客からの問い合わせがあったという。

 ヒールの高さもサイズ同様、見えない売れ筋を探るための貴重な情報だし、商品の画像をプリントをするということは、どこか別の店でもいいから同じものを探そうという意思の表れとして注目できる。「売れた」という結果の前段階での消費者の嗜好を捉える当具として、今回の実証実験で活用されたシステムは注目すべきものといえる。

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