第2回 Windows上でLinuxを走らせてみよう――coLinux:新入学生/新社会人応援企画(3/3 ページ)
Linuxを使ってみたいとは思っても、Windowsから完全に移行するのはまだ早いかなとお考えのあなた。Windows上でLinuxを動作させることができるcoLinuxを使ってまずはLinuxに触れてみてはいかがでしょうか。
GUIの設定
最後に、coLinuxのGUIについて説明しておきます。現時点では、coLinuxはGUI機能を提供していないので、そのままでは使い勝手が良くありません。Windows上で使う分には、それほど高度なGUIは必要ないですが、coLinuxのデフォルトのコンソールではコピー&ペーストもできないので、何か代替の方法が必要だと思われます。
端末エミュレータだけ利用できれば良い場合、PuttyやPoderosaといったWindows用のフリーソフトウェアをインストールすれば良いでしょう。これらはそれぞれ完成度も高く、CUI操作を行う分には十分な使い勝手を発揮してくれるはずです(表4)。
名前 | 特徴 |
---|---|
Putty | フリーソフト。SSH2に対応しているほか、細かなカスタマイズが可能 |
Poderosa(ポデローサ) | もともと商用のソフトウェアだったVaraTermがオープンソース化されたもの。SSH2対応、タブ式のGUIを搭載など高機能。複数実行には.NET環境が必要 |
UTF-8 TeraTrem Pro with TTSSH2 | シンプルなGUIで使い勝手の良いTeraTermのSSH2/UTF-8対応版。オープンソースで開発されている |
どうせならGUIを利用したいという場合には、Windows上でUNIXのGUIを表示できるXサーバや、VNCを利用することになります(表5)。ただし、これらGUI環境はWindows環境との親和性が高くないため、操作性が悪く感じられることもあるかもしれません。それぞれのソフトウェアで使い勝手が違うので、興味のある方は試してください。
名前 | 特徴 |
---|---|
Cygwin/X | Windows上にUNIXのシステムAPIを実装し、UNIX由来のコマンド群を移植するCygwinプロジェクトに含まれるXサーバソフトウェア。オープンソースソフトウェア |
Xming | Cygwin/Xと同じルーツを持つが、Xサーバ機能だけをパッケージしたもの。オープンソースソフトウェア |
X-Deep 32 | 米Pradeep Nambiarが商用ソフトウェアとして開発していたXサーバをフリーソフトにしたもの。比較的高機能で、使い勝手の良いインタフェースを提供する |
VNC | 画面描画をネットワーク経由で転送するVNCプロトコルを実装したもの。UNIXだけでなく、Windowsの画面もリモートマシンに表示できる。オリジナルの実装と言えるRealVNCのほか、開発が活発なTightVNC、日本語入力の品質が高いUltr@VNCなど、さまざまな実装がある。初心者でも比較的導入しやすい |
オープンソースの海へ漕ぎ出そう
以上、coLinuxの基本的な設定方法を説明しました*。「基本的な」といいつつ、複雑な操作をさせられてへきえきした方もいらっしゃるかもしれません。しかし、Windowsに比べると、「いま何をやっているか」がつかみやすかったのではないでしょうか。オープンソースは、中身がすべて見えるようになっています。調べればきちんと手応えがあるのが良いところといえるでしょう。まだまだインストールは旅のとば口。つまづくこともあるかもしれませんが、楽しみながら一歩ずつ、オープンソースライフを充実させてください。
次回は
はてなでプログラマーとして働くあの方の作業環境を紹介する予定です。著名な開発者のリアルな開発環境を知ることができるまたとない機会となるでしょう。
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このページで出てきた専門用語
基本的な設定方法を説明しました
最後に1つオマケの設定を。coLinuxは、起動時にWindowsの仮想ネットワークデバイス(ローカルエリア接続2)にアクセスする。そのため、coLinuxの起動はAdministrator権限で行う必要がある。しかし、coLinuxを起動するたびにAdministratorユーザーにスイッチするのは面倒だ。
そこで、最小限の手間でこれと同等のことが行えるようバッチファイルを作っておくと良い。具体的には、一般ユーザーの状態で、デスクトップなどに次の内容のファイルを作って、「debian.bat」などというファイル名で保存する。以降は、このバッチファイルを(ダブルクリックなどで)起動するだけで、Administrator権限でcoLinuxが起動する(起動時にAdministratorのパスワードを聞かれる)。
cd "C:\Program Files\coLinux"
runas /env /user:administrator "colinux-daemon.exe -c debian.xml"
本記事は、オープンソースマガジン2006年5月号「オープンソースで作る新生活環境」を再構成したものです。
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KNOPPIX 3.6日本語版には、手軽に使える2つのエミュレータが搭載されている。1つはCPUエミュレータQEMU。もう1つがLinux専用のエミュレータ coLinuxである。coLinuxは専用だけあって、実行スピードは実用レベルだ。その実力と便利さが相まって利用が定番化しそうなツールである。簡単に試せるので早速チャレンジだ。
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