「検索で取り組むのは経営課題そのもの」、ウチダスペクトラム社長:よく効くエンタープライズサーチの処方箋(2/2 ページ)
エンタープライズサーチ元年で市場は活性化しているが、現在はまだ一部の先進ユーザーが試行している段階。ウチダスペクトラムの町田潔社長は、エンタープライズサーチこそが企業競争力の決め手になると話す。
業務特化型パッケージはベストプラクティス
ITmedia 競合製品との差別化ポイントは。
町田 あらゆる情報の一元管理や高性能な検索機能、万全のアクセス管理機能といったエンタープライズサーチに求められる機能はすべて備えています。その上、SMART/InSight 2.0では、検索プロセスを保存していつでも再現できるサーチフォルダを個人のものからユーザー間で共有することができる共有サーチフォルダ機能や、コンテンツのユーザーがその価値を客観的に評価して、それに応じたタグを自由に付加できるフォークソノミー機能などの新しい情報共有機能を装備しています。これらにより、情報収集や検索に加えて、情報の体系化から共有、流通までを視野に入れたナレッジワークフローの実現を図ることができます。
また、先ほどカスタマイズのお話をしましたが、SMART/InSight 2.0ではその特徴を利用してお客様が実施したいデータのインテグレーションやクレンジングといった作業をあらかじめビジネスロジックとして入れ込むことができます。さらに、メタデータの付与やそれに基づいた検索ができるメタデータインテグレーションや、事前に設定した各種条件によって検索結果の絞り込みを可能にするダイナミックドリルダウンなど、競合製品との差別化ポイントは数多くあると自負しています。
ITmedia 2006年10月には、SMART/InSight 2.0の業務特化型パッケージ製品として、ソフトウェア開発業務向けの「SMART/Developer」およびマーケティング業務向けの「SMART/MarketWatcher」を発売されました。御社ならではの独特な戦略ですね。
町田 業務の特性に合わせた機能やユーザーインタフェースを提供することによって、利用効果の出る業務ソリューションを適切な価格で短期導入できるようにしました。いわば各業務向けのベストプラクティスです。FDSを採用したソリューションを業務特化型パッケージ製品として提供しているのは、世界中でもわれわれだけだと思います。
「世界生まれ」の製品でグローバル展開を
ITmedia ユーザーのエンタープライズサーチに対する反応はいかがですか。
町田 昨年来、市場としては一躍注目を集めていますが、実際のところはまだどのベンダーさんも一部の先進的なお客様が試行的に導入して検証している段階だと思います。わたしどもでも今年3月末まで検証を行って、新年度が始まる4月以降に本格的な導入を図りたいと考えているお客様が多いです。
ただ、すでに欧米ではエンタープライズサーチを使って革新的なビジネスモデルを生み出そうという動きが活発化しており、このままでは日本は立ち遅れてしまうという強い危機感を抱いています。
エンタープライズサーチの導入を検討していただくに当たって、わたしどももお客様の業務の現場の方々とお話しさせていただく機会が多々ありますが、そこで浮かび上がってくる業務上の問題点は、まさしく経営課題ばかりです。つまり、エンタープライズサーチによって取り組むテーマは経営課題そのものなわけです。その意味では、エンタープライズサーチが企業競争力の決め手になるといっても過言ではありません。わたしどもも今後はこの点をさらに強調してご理解を得られるように尽力していきたいと考えています。
ITmedia 例えば3年後、御社のエンタープライズサーチ事業はどれぐらいの規模になっているでしょうか。
町田 今はまだ規模が小さいですから、3年後は今の20倍以上にはしたいですね。それにこの製品は、ノルウェーの検索エンジンを利用し、中身の開発は日本だけでなく、インドや中国でも行っており、米国などにもビジネスパートナーがいるという、いわば「世界生まれ」なので、ぜひグローバルなビジネス展開を図っていきたいですね。
本記事は、『月刊アイティセレクト』2007年3月号「エンタープライズサーチの最新動向」を再構成したものです。
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