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広域災害も「想定の範囲内」に収めるにはわが社のビジネス継続性を確立する!(2/2 ページ)

企業が具体的な被害を想定する際には、経営に与える影響を指標とするのが合理的だ。BCPにおいては、この影響度の評価を通じて、復旧を優先すべき事業の選定、許容できる業務停止期間の算定などを行う必要がある――。

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目標復旧期間は意識をまとめるために

 災害を受けた場合、優先業務とされた業務も、そうでない業務も、当然のことながらいずれは復旧しなくてはならない。BCP策定の際には、それぞれについて目標復旧期間を設定しておく必要がある。

 目標復旧期間は、影響度評価で用いた逸失利益などの指標から、ある程度見積もることができる。それらの指標と、現状の財務状態がどこまでの悪化を許容できるかという条件を組み合わせれば、概算の期間が算出できるはずだ。

 また、業務停止の影響の中には、逸失利益のほか、資金繰りの悪化や賠償責任、信用低下による顧客離れなど、定量化しづらいが重要な要素も多い。多くの場合、これらの要素は経営に対してマイナスの影響を及ぼすものだ。例えば、定量化できない要素は経営への影響の大小を判断し、それに応じて定量化された指標からの見積もられた目標復旧期間を短縮するなどして、考慮に含めるという方法が考えられる。

 ただし、広域災害では社会インフラやサプライチェーンへの被害想定が難しい。他の経営資源を目標期間までに準備できたとしても、社外の要因から実際に復旧できるまでの期間が長引いてしまうケースもあるだろう。目標復旧期間は、関係者の意識を一つにまとめ、それぞれの社員が災害対策を積極的に進めていくための目標という意味合いも持っている。とても実現できないような目標は、意識の面でむしろ悪影響となる可能性がある。復旧期間に関しては、経営状況を元にした見積もりも重要だが、現実的に妥当な範囲を考慮しておくことも重要だ。

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