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「Visual Studio」発売から10周年――Orcas以降のロードマップを発表(1/2 ページ)

サンフランシスコ発――Microsoftが「Visual Studio」ツールセットの発売10周年を記念したイベントを開催し、次期版に組み込まれると思われる新たなコンポーネントを発表した。

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eWEEK

 MicrosoftのVisual Studio担当上級製品マネージャーであるプラシャント・スリドハラン氏は、現地で催された「VSLive」カンファレンスで基調講演を行い、同社の主力ツールが10周年を迎えたことを高らかに宣言するとともに、devBiz Business Solutionsおよびその「TeamPlain Web Access」技術を買収したと話した。

 TeamPlainは、作業項目やドキュメント、レポート、ソースコントロールレポジトリなどを管理する、Microsoftの「Team Foundation Server(TFS)」のWebインタフェースとなっている。

 スリドハラン氏は、「このたびの買収で、TFSのあらゆる要素のWebインタフェースが整うことになる。新製品は、TFSユーザーすべてに無料でダウンロード提供する予定だ。当面はこれを『Power Tool』に実装して暫定的に出荷するが、いずれは『Orcas』の一部とすることを考えている」と述べた。Orcasは、Visual Studioの次期版のコードネームである。

 Microsoftで「Visual Studio Team System」の製品マネージャーを務めるマイケル・リワーシー氏によれば、「MicrosoftがユーザーによるTFSの利用法を分析した」ところ、同社の「Excel」「Project」「Team Explorer」がインタフェースとして使われていることが分かったという。「この結果をから、TeamPlainがTFSにアクセスするためのすぐれたインタフェースになると判断し、同技術の買収を決めた」(リワーシー氏)

 2007年はVisual Studioの発売10周年であると同時に、スリドハラン氏がMicrosoftに入社してから10年目の年でもある。

 「Microsoftは1997年2月に『Visual Studio 97』をリリースした」が、当時の製品は包括的なIDE(統合開発環境)とは言えなかったと、スリドハラン氏は述べている。そこからのビジョンを念頭に置いた開発が始まったのは、同製品のバージョン6.0からだ。

 多数の新機能が盛り込まれた「『Visual Studio 2002』は、IDE構想が前面に押し出された製品だった」と、同氏は言う。しかし、開発者が同ツールセットでさまざまな作業が行えるよう新機能を追加したことで、アプリケーションの用途と複雑性が肥大し、コラボレーションに問題が生じるようになった。

 Microsoftはこうした諸問題を「Visual Studio 2005」で解決し、Visual Studio Team Systemでは改良のレベルを推し進め、Orcasもさらに進化させるつもりだと、同社は話している。

 「Orcasの開発では、プログラマの生産性やチームのコラボレーションに焦点を絞り、LINQ(Language Integrated Query)およびAJAX(Asynchronous JavaScript and XML)などの最新かつ最高のプラットフォーム技術への対応を考慮している」(スリドハラン氏)

 スリドハラン氏は講演で、Orcasのあとにリリースする予定のVisual Studio Team Systemの「Rosario」バージョンについても言及した。

 「Rosarioのテーマは組織化とコラボレーションだ。そのほか、テスターにわれわれの長年の成果を検分してもらい、品質保証と検証にも力を入れていく」(スリドハラン氏)

 さらに同氏は、MicrosoftはOrcasおよびRosarioの提供を通して、「Team Systemツールのどの要素を(Visual Studioのプロフェッショナル版に)移植」および実装できるか、検討する意向だと述べた。例えば、ユニットテストやコードカバレッジなどの機能は、同プロフェッショナル版への移植が始まっているという。

 スリドハラン氏は、自ら密接にかかわりを持ったという理由から、Visual Studio 2005にいちばん愛着を持っているそうだ。もっとも重要性でいえば、同ツールの初めての.Net版であるVisual Studio 2002が筆頭に挙げられるだろう。

 「当社のビル・ゲイツが同製品のデモを行った2002年2月14日は、Microsoftの歴史においても特に意味のある日となった。Visual Studioにとっても開発者にとっても、重大な瞬間であったといえる」(スリドハラン氏)

 Visual Studioを利用しているプロの開発者は100万人以上おり、「Visual Studio Express」のダウンロード回数は1000万回を超えているという。また、Visual Studio Team Systemユーザーの25%は「Team Suite」を使用していると、スリドハラン氏は述べている。Team Suiteは、コアソフトウェア開発チームの各メンバーに、ソフトウェア設計、開発、検証用の包括的なツールセットを提供するライフサイクルツールスイートだ。

 Visual Studio 2005のリリース以来、Microsoftの「MSDN(Microsoft Developer Network)」サイトの掲示板には、100万件以上の投稿が寄せられた。「われわれはすでに、400名を超えるユーザーの要望に応えてきた。透明性を追求するMicrosoftの取り組みが機能している証拠と言えるだろう」(スリドハラン氏)

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