「Visual Studio」発売から10周年――Orcas以降のロードマップを発表(2/2 ページ)
サンフランシスコ発――Microsoftが「Visual Studio」ツールセットの発売10周年を記念したイベントを開催し、次期版に組み込まれると思われる新たなコンポーネントを発表した。
プロフェッショナルな開発者向け製品のロードマップ
一方Microsoftは、プロ開発者を対象にした製品の新たなロードマップも明らかにした。Microsoft Developer Divisionのゼネラルマネージャー、スコット・ガスリー氏が執筆したブログには、Orcasは今年末までにリリースされる予定とあった。
今年半ばにはOrcasの第2ベータ版が提供される。Orcasは、Visual Studio Team Suiteおよび「Team Edition for Software Architects」「Team Edition for Software Developers」「Team Edition for Software Testers」「Team Foundation Server」を含むものになる。
リワーシー氏は、Orcasには「循環的複雑度を測るコードメトリクスが搭載される」ので、「開発者はコードが複雑すぎる場合に警告を受け、簡素化する手段について指示を得られる」と説明した。また、開発者はこうした情報を参考にして、複雑でエラーを起こしやすいコードを特定し、優先的に検証することができる。
WCF(Windows Communication Foundation)アプリケーションのプロファイラサポートも実装され、WCFベースのアプリケーションのプロファイリングが可能になることから、アプリケーションのパフォーマンスが向上すると、リワーシー氏は付け加えた。開発者がコード正確性ポリシーをカスタマイズしたり、拡張したりすることも可能だ。
また、Webテスト検証規則やWebテストデータバインディング、ロードテスト結果管理など、検証に関する多くの機能に改良が施され、ウェブテストレコーダではAJAXリクエストや、JavaScriptポップアップを記録できるようになるという。
TFSでは、開発チームのメンバーが自分たちの作業結果を逐一統合し、ビルドを自動化して、なるべく早くインテグレーションエラーを発見できるように検証過程を一元化するため、継続的なインテグレーションおよびビルド改良が可能になっていると、リワーシー氏は述べた。新たな「MSBuild」は、マルチスレッド化されたビルドにも対応している。
現時点で考えられるVisual Studio Team SystemのRosario版の特徴もしくは機能は、(1)「Microsoft Project Server」との統合を通して行う共同優先順位付けおよびITプロジェクト管理、(2)ビジネス上の優先順位に基づき能動的にリソースの負荷分散を行うことを目的とした、複数のプロジェクトにおよぶプロジェクト管理、(3)ビジネス上の要件に対するプロジェクトの成果物を調査する完全な追跡機能、および提案された変更が及ぼす影響を迅速に分析する機能、(4)成果物に対するプロジェクトの現状および進捗状況を開発チームメンバー全員が確認できるようにする、包括的なメトリクスおよびダッシュボード、(5)バグの迅速な特定、情報交換、優先順位付け、診断および修復を可能にする開発者およびテスター向けの新機能、(6)開発チームおよび検証チーム双方がテスト事例を作成、編成、管理するための統合的なテスト事例管理、さらに、(7)反復的な手作業に患わされず、ビジネスレベルの検証に集中できるよう開発者やテスターを支援する、検証自動化およびガイド機能、(8)アプリケーションが生産体制に入れるかどうか、またビジネス要件に照らした検証が完全に行われたかどうかを判断し、リリースの「GO/NO-GO」を決めるための品質メトリクス、(9)遠隔地にいる、分散している、分断されている、アウトソースされているなどの状態にある開発チームを直ちに共通の開発プロセスに組み入れる機能、(10)プロセスの簡単なカスタマイズと、顧客側開発チームの作業を調和させるためのMicrosoftおよびパートナーによるガイダンス、(11)マルチサーバ管理、ビルド、ソースコントロールの改良などだと、Microsoftは述べている。
「すばらしい10年間だった。開発者は、ものを売る相手として、あるいは製品開発の対象として最高の存在だ」(スリドハラン氏)
オープンソース開発プラットフォーム「Eclipse」について尋ねられたスリドハラン氏は、Visual StudioはEclipseに匹敵する機能を備えるようになっており、エコシステムにおいてはVisual Studioの方が力強く、かつ活発だと話した。
「Microsoftは単に製品を作っているのではなく、企業がビジネスを営むのを助けているのだ」(スリドハラン氏)
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