複数金融機関とオンライン取引が可能に、NTTデータが企業ID認証サービスを開始
NTTデータは、企業向けの接続ID認証サービス「VALUX」を開始し、次世代バンキングサービスを普及させる構想を示した。
NTTデータは5月21日、企業ユーザーのネットワーク認証と、利用先機関にIDを通知する「VALUX(バリュックス)」サービスの提供を開始した。電子証明書を使って利用者の認証を行い、利用者のIDを相手に通知することで、オンラインでの取引をワンストップで行うサービスを展開する。
VALUXサービスは、企業が利用する端末ごとにインストールされた電子証明書を使って、VALUXに接続される端末の認証を行い、その認証情報を利用企業のID情報として、接続先のシステムへ通知する仕組みとなる。第一弾として、入金通知や振込みなどの金融業務を自動化する同社のサービス「ANSWER」との連携、強化を図り、「次世代バンキングサービス」を開始する。
企業が多数の金融機関と取引をする場合、従来のインターネットバンキングでは、契約している金融機関ごとに個別の認証手続きを行わなければならなかった。だがVALUXを利用することで、複数の金融機関への認証と接続の手間が解消される。またVALUXでは、アクセス回線にインターネットを用いるため、一般の電話回線を経由するPCサービスに比べて、業務処理の速度が大幅に向上する。同社は、インターネットバンキングやPCバンキングが持つこれらの課題を克服する次世代バンキングサービスを、金融機関との連携を必要とする企業向けに提供する。
さらに次世代バンキングサービスでは、通信速度の向上や操作の簡易化がなされるとともに、企業が保有する複数口座間の資金運用の効率化を図る「資金集中配分機能」や、同一のソフトで複数の金融機関にデータを伝送する「全銀ファイル伝送(VALUX)」が新たに追加された。FISC安全対策基準の改定(第6版追補)にも対応している。
NTTデータ決済ソリューション事業本部の山田道夫部長は、VALUXを「インターネットの接続サービスに対して認証を行うだけでなく、金融機関とサービスをつなげることができるのが特徴。数十万の企業が採用しているANSWERの次世代サービスで、とてもインパクトのある商品となる」と説明した。
今後は、2年間で約50の金融機関でのVALUXの導入を視野に入れ、ASPや外国為替に関するコンテンツを積極的に配信するという。
価格は1企業当たり月額3000円前後からの導入となる。今後、企業で個別に金融機関と取引をする場合は、別途利用料が必要となる。
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