SAP、2万5000社に狙いを定めたERPパッケージを刷新
SAPジャパンは、年商500億円未満の中堅企業を対象にしたERPパッケージ「SAP All-in-One」を発表し、認定プログラムを刷新した。
SAPジャパンは6月13日、年商500億円未満の中堅企業を対象にしたERP(基幹業務システム)パッケージ「SAP All-in-One」を発表し、価格、適応範囲、導入リスクなどのプログラムを刷新した。
現在ERP市場は年10%前後の成長を示すが、ERP投資額は減少傾向にあり、ERP市場全体のパイの広がりと投資額が反比例の関係にある。この現状にSAPジャパン営業統括本部の神戸利文バイスプレジデントは「日本でERP導入を視野に入れる年商500億円以上の企業は約1000社となるのに対し、年商500億円未満の企業は約2万5000社。ERP市場のパイの拡大を年商500億円未満の中堅企業が握る現状に目を向け、SAP All-in-Oneを展開する」と説明した。
SAP All-in-Oneの一番の特徴は、導入対象となる業種の細分化が行われていることだ。SAP All-in-Oneの導入対象だった40〜50の業種を200〜250にまで細分化し、顧客の業態1つ1つに合わせたサービスを提供する。例えば製造業の電子部品に特化したERP製品は従来からあったが、SAP All-in-Oneでは対象範囲を半導体やパーツであるコネクターにまで広げる。結果、導入作業の工数を減らすことができ、さまざまな業種をカバーできるようになった。また顧客が抱える問題に対して、SAP All-in-Oneではどこからどこまで対応できるかを明確に提示できる。追加工数を事前協議で決めることや6カ月以内の導入を約束するなど、顧客の導入リスクの低減が行われる。
SAP All-in-Oneが提供するのは基盤となる「SAP ERP 6.0」、設定自動化ツール「SAP Best Practices」。そのほかパッケージ概要やプロジェクト文書などの各種文書の枠組みはSAPで提供するが、内容はパートナーが独自で考える仕組みとなっている。
価格はソフトウェア、ハードウェア、導入サービス、ライセンスなどを合わせて、平均で1億円。パッケージの内容が明確に定義されている「実現機能確認シート」を基に価格を決定するなど、導入予算が限られている中堅企業に対応する。
SAP All-in-One認定プログラムは2007年7月より開始する。現在21社にパッケージの出荷を予定し、来年以降も数十社のパートナー契約を目指す。
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