高品質企画を生み出すには「ブロック崩し」から:企画マネジメント 本気度を示せ(2/2 ページ)
良質な企画を次々と生み出すチームを作り出すには、さまざまな方策がある。まずは創造性を妨げる「4つのブロック」を崩していこう。
発想を広げる道具づくり
前出の4つのブロックのうち、「組織のブロック」はマネジャーの力で少しでも改善していけるものだ。
「人間関係のブロック」は要するに自主規制をしてしまうメンバーの心理を変えていく必要があるわけだが、キラー上司としてメンバーの意欲を消失させてしまうような言動をしているとしたら、それを改めるだけで、かなり変ってくるだろう。また「風土のブロック」がきつい企業、会社全体が人とは違った言動を否定的にとらえ、「横一線」を良しとする雰囲気があるとするなら、逆にチャンスといえるかもしれない。
キラー上司が他の部署で幅を利かせている組織で、出した企画が否定されない会議を開く上司はやる気のある若い社員たちの間ですぐに注目されるようになる。求められている企画の方向性を示し、まずはあらゆるアイデアを受け入れ、ぶれない評価基準を持って判断し、メンバーに説明してくことを心がけるだけで、ブロックは氷解していく。
高橋氏はネーミングを考えるとき、企画メンバーに発想を広げるための道具を配るという。
「例えば、新しいミルクのネーミングを考えるとします。ミルクから連想される多様なキーワード、『暖かい』『育む』『牛』などといったものをあげておいてそれぞれ英語、フランス語、ドイツ語の訳を付け加えたものを会議のときに配ります」
おそらくキラー上司はこうしたことはするまい。会議室の上座に陣取り、メンバーを睨みつけることが先決と考えるだろう。
マネジャーとしてのあなたが、会社の中でどの階層にいるかは分からない。しかし企画づくりにおいては、組織での地位は邪魔になるばかりだ。良い企画が欲しければ、どんな資料や道具を提供すれば、メンバーのやる気のエンジンがかかるのか、発想力が全開になるのかを考え、率先して行動しよう。
高橋氏のようにマネジャーの本気度を示すことが、メンバーの可能性を広げることにつながる。
関連記事
- 「良いダメ出し」で部下は10倍知恵を絞る
企画マネジメントを円滑に進める7つチェックポイントがある。このポイントは企画に「ダメ出し」をする格好の判断基準になる。 - 「企画アタマ」に改造するGoogleノートブック
Googleの各サービスを活用して、企画作りに役立てよう。企画作りが行き詰まりやすいのは、日常業務とは少し違った発想が必要になるからだ。そこは打破するには、できるだけ情報のインプットを効率的にして、繰り返し利用できるように整理しておく必要がある。 - iGoogleで旬のネタを企画に活用する
Web2.0の先頭を走るGoogle。単なる検索サイトとしてしか利用していない人も多いかもしれないが、Web2.0の技術を利用した各種サービスがすでに利用できる状態にある。Googleの強力な情報収集能力と、Web2.0の技術を合わせたサービスは、必ずアイデアの創出に役に立つだろう。 - 「昼あんどん型」マネジャーが創造型組織を作る
「企画マネジメント」では演技やフリも重要である。企画会議で出されたアイデアをバッサバッサと切りまくるマネジャーは、自己陶酔しているとしか部下からは見られない。自らの存在感を消して、自由に発言できる時間を与え、タイミングを見計らって正当な評価を下すことが大切だ。 - 企画創出率を3割高める「広角発想」って何?
チームの創造性をフル回転させる「企画マネジメント」は、簡単にできるものではない。しかし、マネジャー自身がアイデアをつぶしてしまう「キラー上司」になることを戒め、さまざまな角度から部下を刺激しつづけることで、次第にそのレベルは上がってくる。 - 「異才の人」「異端児」には存分に踊れるステージを
創造性に対する企業の取り組みが本格化する中、部署やプロジェクトをまとめるリーダーに必要とされる資質は何か?メンバーの創造性を高める方法とは?さまざまな手があるが、もしあなたの近くに「異才の人」「異端児」と呼ばれる人がいれば、大いに活用してみてはどうだろう。 - 「ハズレ上等企画」の山でイライラするのは終わりにしよう
マネジャーが方向性を示さないまま集められた企画は、ハズレ企画の山になることが多い。それを前にして「いい加減にしろ」と部下を怒鳴っても時すでに遅し。最初から採用されることを考えない「ハズレで上等」という空気がまん延してしまう。 - 「企画出せ出せ」型マネジャーの悲劇
「企画を作る仕事」というのは本来楽しいもののはずだ。マネジャーであるあなたは、部下にハッパをかける。「俺の若い頃は毎月100本以上企画を出していたもんだ。企画が注目されればそれだけチャンスも広がるんだぞ」。少し疲れた顔であなたの部下たちは、いつものように答えるだろう。「頑張ります」と。しかし…。 - CIOを目指すなら――業務の本質をどう見抜くか
ITコーディネータ(ITC)の取り組みはIT部門の担当者にとって示唆に富むものを多く含んでいる。それはITCが単なる外部コンサルタントではなく、顧客の業務に深く切り込む働きをしているからだ。 - 「報告のための報告」が飛び交う組織の実態
業務の報告が「形式主義」に陥ると「報告のための報告」が生まれる。多くのスタッフが無駄な時間をとられ、疲弊していくのを防ぐ基本は「現認主義」の考え方だ。 - Google Readerにログイン妨害の脆弱性
- スーパーマーケット発展の歴史から考える今後の小売ビジネス
- シャア専用ズゴックの一撃に沈むジムはなぜ美しいのか
- Web 2.0「企業版」はこうなる?
Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.