新W-ZERO3の予約は1万台、通話定額の新構想も――ウィルコム
ウィルコムの喜久川社長はワイヤレスジャパン2007で新W-ZERO3の予約が1万台となったことを明らかにした。
ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長は7月18日、東京ビッグサイトで開催中のワイヤレスジャパン2007の基調講演に登壇し、新型のW-ZERO3スマートフォンや次世代PHSの展開について紹介を行った。
まず同社ユーザーの現状について、喜久川社長は通話定額やデータ通信定額を背景に順調にユーザー数が拡大していると強調。通話定額は年率40%で加入数が拡大し、データ通信定額では市場全体のうち、個人ユーザーで68%、法人ユーザーで61%のシェアを獲得しているという(野村総研調べ)。またスマートフォンの通信事業者別シェアではW-ZERO3シリーズ全体で86%のシェアに達する(同社調べ)。
W-ZERO3シリーズの最新モデルとなるAdvanced/W-ZERO3[es](通称:アドエス)は、7月19日の発売に先立って6月29日から先行予約が行われてきたが(関連記事参照)、喜久川社長によれば予約件数は1万台を超えており、「とても順調」だという。アドエスは前モデルのW007SHをベースに薄型・軽量化でデザインを一新。最新のWindows Mobile OSやOffice Mobileなどのビジネスアプリケーションを搭載するなど、個人ユーザーからビジネスユーザーまで幅広く対応する仕様が人気だという。
また喜久川社長は、おもに法人ユーザー向けソリューションとして提供されるFMCについて、通話定額を推進する考えを明らかにした。
現在のサービスではPHS端末からの外線発信は定額料金が適用される。代表番号などPBX経由で外線発信する場合は固定網の従量課金となるが、NECマグナスコミュニケーションズなどのアダプター機器を利用すれば定額料金が適用される。
現在検討中のプランでは、PBX回線をウィルコムのバックボーン回線に接続させることで、企業内から発信されるすべての外線通話に定額料金を適用させるという。なお、導入時期について喜久川社長は明言しなかった。
2.5GHz帯へは次世代PHSで申請
総務省が8月にも免許申請の受付を開始するとみられる2.5GHz帯を利用した次世代無線サービスについて、喜久川社長は同社が実験を進めている次世代PHS(XG-PHS)で免許申請を行うと表明した。
XG-PHSは既存のPHS技術をベースに、OFDMAやMIMO、256QAMなどの最新の電波技術を利用することで、20Mbps以上の通信速度を実現する。2.5GHz帯では、アッカ・ネットワークスなど大半の通信事業者がWiMAX(IEEE802.16e)での参入を計画するが、ウィルコムでは既存のネットワーク環境の延長線上としてXG-PHSを計画する。
喜久川社長は、「都市部や住宅地ではデータ通信ニーズが高いことから早期にXG-PHSを開始するが、地方では(既存の)高速化技術のW-OAMなどと組み合わせながらブロードバンド化を支援したい」と話す。XG-PHSは既存のPHS網と切り替えながらの利用が可能で、ゼロからサービスエリアを構築するWiMAXに比べて、エリアの利便性を確保できるメリットがあると説明した。
また喜久川社長は、XG-PHSがITU-Rの勧告で次世代無線システムに推奨されている点も説明する。2.5GHz帯の免許方針案では国際競争力のある技術の採用が求められているが、喜久川社長は国産技術のPHSがすでに国際的に認められたものであることを強調した。
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