恐怖の停電対応で男子更衣室に侵入!?:女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)
1年のうちで、システム管理者がかかわっていることさえ意識されない、地味な定例イベントがある。それは停電対応だ。だがこれは、たくさんの貴重な経験が積める修行の場とも言える。
秘境の地へ足を踏み入れるわたし
それから数年後。それまでの拠点がほかの拠点に吸収され、わたしは新しいビルへ移転となっていた。そこでの法廷点検は、ビル内に商業施設が入っていることもあり、全館が停電となるのは土曜日だけで、日曜日には通常状態に戻るという。
半年前の移転作業をわたし1人で対応したこともあり、今度の停電は、もともとその拠点にいたシステム管理者A君が休日に出勤して対応してくれることになった。わたしはすべてが終わった月曜日に、ちょっと早めに出社するだけで良さそうだ。A君は月曜日に代休を取るため、引き継ぎなどはメールでもらうことにした。
そして迎えた月曜の朝、A君からは無事終了した旨のメールが入っていた。ユーザーからもマシンが立ち上がらないなどの報告もない。いつも通りの平和な月曜日なりそうだと油断していたところに、運用チームから電話が入った。
運用担当:「××会社のADからアラートが上がっているので確認してください」
××会社? グループ会社じゃないか。どうやら同じビル内にグループ会社があり、同じドメインにあるそのADサーバもA君が管理していたらしい。初耳だ。慌ててそこの総務担当に電話してみると、そんなサーバがあることすら知らない様子だ。取りあえず現地に向かい、サーバの入ったラックの場所をグループ会社の総務担当に確認した。
総務担当:「ラックって、あのロッカーみたいなのですよね? 鍵はこれだと思うんですが。実は、置いてある場所が男子更衣室の中なんです」
ええー! なぜそんなところに……。総務担当者からは、着替えている社員がいないうちにと入室を促されたが、長い人生の中でも初めてのことで、かなりドキドキの体験だった。
結局、ADサーバは電源が入っていないだけだった。システムの終了は、停電の連絡を受けた中央の担当者がリモートで対処したため、A君も階の違うこのサーバの電源を入れることを忘れてしまったようだ。しかし、停電対応でもなければ、会社の男子更衣室などという“秘境の地”には一生足を踏み入れることもなかっただろう。やっぱり、停電対応は、思いもよらないような貴重な経験をさせてもらえるものだと、妙に納得した出来事だった。
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