総務省は9月21日、日本通信が7月9日に申請したNTTドコモとの相互接続に関する総務大臣の裁定について結果を公表した。利用者への課金方法など、料金に関する主張を一部認めた。
日本通信は、MVNO(仮想移動体通信事業者)としてウィルコムのPHS回線を利用したデータ通信サービスを提供しており、携帯電話事業者各社とも接続に関する協議を続けている。NTTドコモとは2006年8月から交渉を行ってきたが合意に至らず、7月に総務大臣に対して裁定を申請していた。
日本通信が裁定を申請したのは、以下の5つの内容となる。
- MVNOにサービス内容の決定権があるか
- ドコモ接続料を含むユーザーへの課金は日本通信が行うべきか(エンドエンド料金)
- 定額制料金が認められるか
- 妥当とされる料金はいくらが目安となるか
- 日本通信が負うべき接続に関するシステム開発などの負担割合
これらに対し、総務省は1および4、5について2社間の協議が十分に行われていないとの理由から裁定の対象外とし、2および3については日本通信の主張を認める裁定を行った。
2では、エンドエンド料金を求める日本通信に対して、NTTドコモは自社ネットワークの利用料を独自に設定してユーザーに課金する「ぶつ切り料金」を求めていた。
これに対し総務省は、ユーザーサイドの日本通信が利用実態に即した適切な料金体系を設定できる、エンドエンド料金はMVNO間での公正な競争環境に必要、MVNOとネットワークを保有する事業者間での公正な競争環境実現にもエンドエンド料金が重要――などの理由で、日本通信の主張を認めた。
3では、NTTドコモが定額制ではネットワークを圧迫するとの懸念から従量課金制を求めていた。
これに対し総務省は、ネットワークを保有するNTTドコモに優位性があるとの観点から、従量課金制がMVNOの料金設定の自由性を損なう、ドコモユーザーへ定額制が提供されているのに対してMVNOユーザーに提供されない環境は公平性を欠く、NTTドコモの懸念も想定されるが直ちにそのような事態が発生する可能性は低く、緊急時に利用制限を行うなどの対策が取れる――との理由で、定額制を求める日本通信の主張を認めた。
また、裁定を見送った項目については、適切な協議を行うために必要な情報を双方ができる限り公開することで細部を詰めるように促している。
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