MSとの提携拡大で浮かび上がるSunの“憂うつ”:ITトレンドの“眼”(2/2 ページ)
Sun MicrosystemsとMicrosoftがこのほど、「Windows Server」のOEMパートナー契約を結ぶなど3年前の戦略提携を拡大した。そこに見え隠れするSunの憂うつとは――。
気になるSPARCプロセッサの行方
SunがWindows Serverを売る……長年、IT業界をウォッチしてきた筆者などにとっては何とも隔世の感があるが、今回の動きは両社が2004年4月に結んだ戦略提携を拡大させたもので、業界では「想定の範囲内」とも受け取られている。
ただ気になるのは、今後のSunの戦略だ。今回、Windows Serverを扱うことにしたのはx64サーバの拡販策という側面が大きいが、一方で同社は主力OSであるSolarisにおいても、このところx86/x64サーバ上での展開に注力している。
最新のSolarisではx86/x64サーバ上において、Linuxのアプリケーションをそのまま動作できる機能も追加した。また、ここ数カ月の間にインテルやIBMと相次いでx86サーバ向けSolarisの販売提携を行うなど、積極的な動きが目立っている。
サン日本法人が9月19日に「Solarisの最新動向」をテーマに開いたプレスセミナーでは、末次社長が「Solarisのライセンス契約数は現在、1000万件近くに達しているが、そのうち6割以上がx86/x64サーバ上で使用されている」と、Solaris on x86/x64の普及の勢いを強調した。
そこでふと筆者の頭の中をよぎったのは、Sunがかねてサーバの主力プロセッサとしてきた「SPARC」の今後の行方だ。Solaris on SPARCは今も世界の名だたる企業で数多く利用されている。
Sunとしては、Solaris on SPARCの顧客はガッチリと維持しながら、今後さらに成長が期待できるSolaris on x86/x64に注力していこうという構えなのだろう。ただ、業界関係者の中には「SunはSolarisのプラットフォームをSPARCからx86/x64に徐々にシフトし、SPARCのソフトランディングを図ろうしているのだろう」との見方もある。Sunは現在、SPARCの開発を富士通などと協業して行っているが、そのコスト負担がリスクの1つになっていることは確かだ。
末次社長いわく「世の中でこれからも使われ続けるOSは、Windows、Linux、Solarisの3つだけだと思っている」。ならばSPARCは、Sunにとって今後もSolarisの動力源となり得るのか、それともソフトランディングさせるべきものになるのか。後者の場合、一歩間違うとSolaris on SPARCの優良顧客のし烈な争奪戦を招きかねないだけに、Sunにとっては難しい判断を迫られそうだ。
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