美しいがOOoとは響き合わないSymphony:Leverage OSS(2/2 ページ)
Lotus Symphonyは、OpenOffice.orgのコードをベースとしたオフィススイートだ。今回試してみたところ、Lotus Symphonyには優れた部分が数多くある。しかしOpenOffice.orgコミュニティーに対しては悪影響を与えかねないことが心配だ。
悪しき実装方法
全体的に見てSymphonyはOpenOffice.orgよりもさらに使えるものになっている。実のところ、一時的にはじめて使ってみたというようなユーザーにとっては、Lotus SymphonyはOpenOffice.orgとはまったく異なるものになっている。SymphonyはMicrosoft Officeで作成した複雑な文書も、すべてのコメントとその著者を正しく認識して、変更点をすべて追跡して、スタイルをインポート/実装して、完璧に表示する。
しかし、そのような機能はどれもOpenOffice.orgでも実現された方が望ましいものではないのだろうか? わたしはOpenOffice.orgとLotus Symphonyとに違いがあるということは歓迎するが、そのような機能の実装のされ方がOpenOffice.orgコミュニティーにも役立つような形になっていないのは残念だ。というのも、そのような機能をOpenOffice.org上に実装するのであれば、それらはプラグインとしてリリースされるのが最も望ましい形であると思うからだ。IBMは事実上、OpenOffice.orgの大勢のボランティア開発者たちに協力するのではなく、 OpenOffice.orgをプロプライエタリな無料ダウンロードのオフィススイートにフォークしてしまっている。
OpenOffice.orgの開発に参加することを発表したときIBMは、まずは同社のLotus Notes製品の一部として開発していたコード、具体的にはiAccessible2アクセシビリティ・ツールを寄与することから始めると述べていた。しかし現在ダウンロード可能になっているLotus Symphonyのβリリースにはこのツールは含まれていない。
最後に、IBMはLotus Symphonyを初心者にやさしいものにすることに多大な労力を費やしている。Lotus Symphonyのために用意されているオンラインの仮想実践ツアーは、詳しくて分かりやすい。またSymphonyユーザーは、Symphonyプロジェクトが9月下旬に開始したオンライン・ギャラリー・セクションのおかげでより多くの画像やテンプレートを利用することができる。しかしこの点についてもやはり、ギャラリーの利用規定でコンテンツの使用は「個人利用/非商用利用でLotus Symphonyの使用に関連する場合にのみ」に制限されているため、SymphonyはOpenOffice.orgユーザーの役には立っていない。
まとめ
Lotus Symphonyは、きわめて有用なオフィススイートだ。Lotus Symphonyのインタフェースはユーザーの時間を節約するように設計されていて、現在のβリリースの段階であってもすでに安定していた。しかし一方でIBMはMicrosoftとの文書形式戦争にLotus Symphonyをもって対抗しようとしているのかもしれないが、OpenOffice.orgにとっては最悪の形でそれを行なっているようにも思われる。
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