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宋さんが漏らした弱音と僕にできたこと夏目房之介のその後の「起業人」(2/2 ページ)

ソフトブレーン創業者の宋文洲さんは歯に衣着せない論調ながら、なぜか憎めない話し方で説得力があった。そんな彼が、珍しく落ち込んで弱音を吐いたことがあった。

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 でも、彼が偉かったのは、村上ファンドが叩かれたときだ。いつもお世話になっているのに、そういうときだけ知らぬ存ぜぬはできないと、マスコミ取材に積極的に応じた。自社の社外取締役に村上ファンドの元代表がいたらしいが、それへの対応も早かった。正直、マスコミの無責任とその影響の怖さを知っている業界内の僕はハラハラしたが、宋さんは見事だった。

 にもかかわらず「お前みたいなヤツはさっさとクニへ帰れ」というような心ないメールなどもあったらしい。宋さんの個人的なメールマガジンに珍しく落ち込んで弱音を吐いた文章がのった。「ほんとうに帰ったほうがいいのかなと思う」と(このテのメルマガを、僕はほとんど読まないが、宋さんのだけは面白いので、たまに読んでいたのだ)。

 僕は、さすがに怒りで頭が一瞬白くなり、すぐにメールを出した。僕にできることはないけど、そういう発言をする人はどこの世界にもいる。宋さんは、日本に必要な人だし、まともな人はすぐに発言しないのだ、というような内容で。宋さんからお礼のメールが届き、その文章は彼のメルマガに載った。少しでも励ましになったとすれば、うれしい。


「ITセレクト」誌2002年4月号「起業家の履歴書」

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起業 | 村上ファンド | 中国 | ベンチャー


なつめ ふさのすけ

1950年、東京生まれ。青山学院大学史学科卒。72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。夏目漱石の孫。


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