インターネット通信制のサイバー大学は11月28日、携帯電話向けに授業の動画を配信する実験を開始した。2008年度にも全授業の動画配信の実施を目指す。
サイバー大学は全授業をインターネットで動画配信する通信制大学として4月に開校。1864人が受講しており、6割以上を社会人が占めているという。
実験では、ソフトバンクモバイルの動画アプリケーション「S! 番組プレイヤー」を利用して、1回当たり約15分の講義を配信する。配信するのは、吉村作治学長の「ピラミッド・ミステリーを解く」(全4回)と、同校に出資するソフトバンクの孫正義社長のメッセージ(3分間)の2種類。対応機種を持つソフトバンクモバイルユーザーであれば、誰でも視聴できる。
吉村氏は、「携帯電話はすでに生活に密着しており、誰もがあらゆる場所で教育を受けられるツールとして期待している。eラーニングの新たな形として『m-ラーニング(モバイルラーニング)』を提唱したい。PC向けの配信は世界でも例があるが、携帯電話向けには世界的にも例がないようだ」と述べた。
また、IT総合学部学部長代理の川原洋氏は、「2007年度下期だけで110以上の講座があり、技術的にはPC用とほぼ同一のコンテンツを携帯電話へ配信できるめどが付いている」と話した。
同校では視聴者からのフィードバックを収集し、本格導入に向けて準備を進める。「全面展開には文部科学省との調整などが必要だが、早ければ来年度春にはスタートし、すべての携帯電話会社にも対応していきたい。携帯電話を使った授業の効果に疑問を唱える有識者もいるが、まずはやってみなければ分からない。教育格差を解消する手段として挑戦する価値がある」と吉村氏。
現在、携帯電話からは学生同士のコミュニティーや授業などの掲示板、教授と学生のディベートコーナーなどを利用できるが、授業配信とコミュニケーション機能との連動なども視野に入れているという。
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