カジノのサーバ室「裏」のウラ:消費電力と闘う(2/2 ページ)
人々が夢と希望を賭けて一喜一憂するカジノ。その華やかな空間の向こうではITが活躍している。そんなカジノの裏側をのぞいてみよう。
今後5年間で企業の90%以上が電力不足に直面する
「データセンターの血液ともいえる電気の需要は増加の一途をたどっている」と語るのは、EPAの「エナジースター」プログラムチームリーダー、アンドリュー・ファナラ氏だ。1992年にスタートした同プログラムは、コンピュータのハードウェアなどの省電力化を推進するためのラベリング制度で、一定の基準を満たした製品には「Energy Star」ロゴマークの使用が認められる。「需要が増加すれば、価格は上昇する。すでにその兆候は現れており、おそらく電気料金は今後さらに上昇するだろう」とファナラ氏は予測する。
こうした数字にピンと来ないなら、データセンター責任者の団体「AFCOM」が目を覚まさせてくれるに違いない。AFCOMは、今後5年間で全企業の90%以上が停電や電力不足によりデータセンターの稼働中断を余儀なくされるだろう、と警告しているのだ。また市場調査会社のガートナーも、2008年までにIT責任者の半数がデータセンターを稼働させるのに十分な電力を確保できなくなると予測している。
こうした状況を正しく認識し、コンピューティング需要の増大に対応可能なスペースと電力の確保を図ることが、今後ますます重要になっているのだ。ヴィアス氏はこの深刻な問題を正面から見据え、6カ月かけて調査を行い、省エネタイプのデータセンターを設計した。
計画段階では、ビジネスケース分析から電力供給、ローカルの天候まで、あらゆる要素を検討した。もちろん最新の技術も、新しいデータセンターで重要な役割を担う。「ブレードサーバと仮想化という新しいパラダイムは、空調から電力要求まで、従来の設計思想を根底から変更してしまった」とヴィアス氏は言う。
ヴィージャス・エンタープライズは現在、ミッドマーケットで最もエネルギー効率に優れたデータセンターの1つを運用している。平屋建てのデータセンターは、ブレードサーバと仮想化に適した構造になっており、高密度なコンピューティング環境を実現している。また、慎重に検討されたレイアウトと空調システムにより、サーバは効率的に冷却されている。バックアップの発電装置も万全だ。データセンターにはローカルの電力会社から別系統で2本の電線を引き込んでいる。
「それらの電源が落ちても、ただちにUPS(無停電電源装置)に切り替わり、数秒後に発電装置が立ち上がる」とヴィアス氏は力強く語った。
Copyright(c) 2007 TechTarget, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- データが増えても、CO2は増やさない!
増加する一方にあるサーバルームの消費電力。サーマルゾーンマッピング、Big Greenなど、さまざまな取り組みが試みられる中、新たな課題も見えつつある。 - 地球を“蝕む”コンピュータ――グリーンITの必要性とは
企業に環境保護への取り組みが求められる現在、ITにとっても環境問題は他人事とは言えないものとなっている。本企画では「グリーンIT」をキーワードに、国内外の現状を俯瞰(ふかん)する。 - “美しい星”を目指す日本国内の動き
データセンターからのCO2排出を減らす取り組みが国内外で提案されている。今回は特に日本国内の動きを見てみよう。 - 「ファクターX」の向こうにビジネスチャンスあり!
- 「IT、で、エコ」のNEC、5年で91万トンのCO2削減計画
- Nokia Siemens、基地局のエネルギー消費量を70%削減へ
- IBM、データセンターのエネルギー削減評価プログラムを立ち上げ
- 【特集】サーバ祭2007
企業情報システムが抱える課題は多様化の一途をたどっている。また最近では地球温暖化への関心の高まりとともに、ITシステムにも環境への意識が求められている。最新チップの動向を踏まえたハードウェアの選択やIT基盤の統合をはじめ、消費電力や環境配慮型ITへのアプローチなども必要となる。システムマネジャーが知っておくべきサーバ周辺のトレンドを、さまざまな角度から紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.