データが増えても、CO2は増やさない!:発熱と冷却コストのはざまで(2/2 ページ)
増加する一方にあるサーバルームの消費電力。サーマルゾーンマッピング、Big Greenなど、さまざまな取り組みが試みられる中、新たな課題も見えつつある。
電力消費量が70%以上改善した例も
HPとIBMは、グリーンITへの取り組みを強化するために今年結成された非営利団体「ザ・グリーン・グリッド」に参加している。このコンソーシアムは、データセンターのエネルギー効率を計測する標準的な手法やベンチマークの開発を目指す。実際、CPU、電源、サーバ、アプリケーション、建築構造、湿度など、さまざまなパーツのエネルギー消費をチェックするタスクは、きわめて困難な作業だ。
ラッカブル・システムズのマーケティング担当副社長で、グリーン・グリッドの役員を務めるコレット・ラフォース氏によると、同コンソーシアムでは、データセンターのエネルギー効率を測定するための基準を策定するとともに、グリーン化を達成した個別の技術製品に認定シールを提供することも考えているという。グリーン・グリッドには、マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、デル、インテル、AMD、VMwareなども参加している。
「グリーン製品は、従来の製品より価格的には不利だが、すでに幅広い製品が提供されている」と話すのは、バミューダの印刷会社ビスタ・プリント(売上高2億5500万ドル)のCOOウェンディ・セビュラ氏だ。そうした製品にはエネルギー効率に優れた電源装置、電圧安定器などがあり、インテルやAMDが開発した省エネタイプのチップセットも含まれる。
電子システムおよび部品ベンダーのイートン・コーポレーションによると、サーバが稼働するために必要な電力の50%以上はCPUによって消費されるという。新しいタイプのUPS(無停電電源装置)システムは、従来製品と一般的な利用環境で比較した場合、電力ロスが70%以上も改善されている、とグリーン・グリッドは報告している。
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