牛ふんはデータセンターを救う:安価なエネルギーはどこだ!(2/2 ページ)
データセンターにおいて、エネルギーの確保は今や重要な課題となっている。各社のCIOが知恵をしぼった、さまざまな施策を紹介する。
遠隔地データセンターのメリット・デメリット
大手IT企業の間でも、安価な電力を利用できる場所へデータセンターを移す動きが出ている。報道によると、マイクロソフトとシスコが地熱発電や水力発電を利用できるアイスランドにメガ・データセンターの建設を検討しているという。
グーグルはオレゴン州のコロンビア川の土手にデータセンターを建設した。また時差のある地域にデータセンターを建設し、安価な電気料金が設定されている時間帯に負荷を移動するといったテクニックも考えられた。
リモートのロケーションに新しいデータセンターの建設を検討している中堅企業のCIOに対して、ビスタ・プリントの技術および運用担当副社長アーロン・ブランハム氏はこうアドバイスする。
「もし会社にスケールメリットを期待できる十分な規模と確固たる成長計画があれば、新しいデータセンターの建設は有利な選択だ。創業間もない企業は資金的な余裕がないため、いきなりデータセンターは難しいだろう。
しかし一方で、極端に小さなISPと契約すると、急成長したときにトラブルになりがちだ。一般に、20台以上のラックが必要になると分かっていれば、自前でやることも十分検討に値する」。
HPのスケーラブル・データセンター・インフラ担当副社長ポール・ペレス氏によると、新しいデータセンターの構築コストは、場所にもよるが、1平方フィートあたり2500ドル前後になるという。
安価な電力供給源の近くにデータセンターを建設することで、大幅なコストセービングが可能になる。だが一方で、通信コストや地域経済への影響、リモートエリアでの人材確保など、CIOはその他の要素についても十分考慮しなければならない。
レイテンシ(遅延)の問題にも注意が必要だ。コンピュータベースの金融機関などは、レイテンシの問題があるため、リモートのデータセンターを好まない。金融大手ワコビアのユーティリティ製品管理担当副社長ジェームズ・ヒュートン氏は、「マイクロ秒の差が明暗を分ける」と話す。ビスタ・プリントもまた、建設場所をカナダに決定する前、テクニカルサポートから自然環境、地政学的な問題にいたるまで、国境を越える懸念について慎重に検討したという。
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