アドビ システムズは12月18日、記者向けセミナーを開き、オープンソース製品「BlazeDS」の概要と戦略について説明した。
BlazeDSは、先日β版を発表したばかりのオープンソースソフトウェア(OSS)。OSSのライセンス体系の1つである「Lesser General Public License(LGPL) v3」に基づき、「LiveCycle Data Services ES」のリモーティング技術とメッセージング技術をオープンソース化した。バイナリ通信のフォーマットである「AMF(Action Message Format)」の仕様も同時に公開した。
LiveCycle Data Servicesとは、ビジネスプロセスの合理化および自動化を支援する統合製品「LiveCycle Enterprise Suite」の1コンポーネント。インターネットアプリケーション(RIA)と既存アプリケーション、バックエンドデータ、Java 2の機能セットであるJ2EEのインフラストラクチャを統合できる。
これにより開発者は、Webアプリケーション開発ソフトウェア「Adobe Flex」や、アプリケーション実行環境「Adobe AIR」などで構築したRIAで、データのプッシュ配信や、チャットのようなリアルタイムコラボレーションなどを実現できる。
マーケティング本部でエンタープライズ&デベロッパー マーケティング部部長を務める小島英揮氏は、「BlazeDSはLiveCycle Data Servicesのサブセット」という。相違点として、LiveCycle Data Servicesのメッセージング機能の通信プロトコルは、Flashメディアサーバで使用するRTMPを採用するため、HTTP対応のBlazeDSと比べて10倍近い拡張性を持つ。「両製品はほぼ同じ開発コードを用いるため、例えば、拡張性やBlazeDSにない機能を求める開発者は、支障なくLiveCycle Data Servicesへデータ移行できる」とアピールした。
アドビがオープンソースに力を入れる理由とは何か。実は過去の成功体験に基づいている。「Flex SDK」や「Flex Builder」をオープンソース化したところ、開発者からの注目を集めユーザーの増加につながったという。同社の目的は、LiveCycle ES製品群のビジネス拡大である。「BlazeDSの普及を通じて、開発者にアドビの技術への関心を持ってもらいたい」と、小島氏は意気込んだ。
今後の戦略としては、コミュニティーを立ち上げて参加者を募り、BlazeDSや商用のLiveCycle Data Servicesの開発を進めるほか、JavaやAdobe ColdFusion以外のプラットフォームでもBlazeDSの機能を展開できるように、PHPやRubyなどの団体と協力していくという。
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