そのアプリケーションは、グリーン化を前提に記述されているか:開発段階に立ち戻ろう(2/2 ページ)
「グリーンIT」への取り組みは、確実に注目を集めつつある。真のグリーン化を目指すには、何を心がけるべきか。
分かれる評価
EPAの報告書に対しては、さまざまなリアクションがあった。ある人々は「踏み込みすぎだ」と反発し、別の人々は「まったく不十分だ」と批判する。
技術コンサルタント会社シェン・ミルソム&ウィルクの子会社インターポートの社長で、テクノロジー問題に関する米議会の法整備の遅れを激しく批判するデータセンター・コンサルタントのロバート・マクファーレン氏は、今回の報告書が政治家に狙いやすいターゲットを与えたと指摘する。「米国には真のエネルギーポリシーというものがない。EPAの報告書は、議会と大統領が選挙の年にふさわしい見栄えの良いポリシーを訴え、データセンターを運用する声なき人々に責任を押し付ける大きなチャンスをもたらした」と切り捨てる。
一方、市場調査会社ガートナーのアナリスト、ラケシュ・クマー氏は、「われわれには鼻先にぶら下げるニンジンと大きなムチが必要だ。税制上の優遇措置には限界があり、なんらかの法的な強制が必要というのがわれわれの見解だ」
ペンシルベニア州ウェルズボロのシチズン&ノーザン銀行のペーター・ボーガーマン氏は、エナジースターの黄色いステッカーをサーバに貼り付けることには慎重な見方を示す。データセンターの省エネ化は技術業界、とくにソフトウェアベンダーが主導すべきだ、と同氏は考えている。
同氏が抱える問題の多くは、ソフトウェアに関するものだ。例えば、あるアプリケーションはウィンドウをスクロールするだけでサーバのキャパシティを100%使い切ってしまう。資産査定を行うクリティカル・アプリケーションも仮想化できない。他の仮想化アプリケーションとリソースをめぐって対立してしまうからだ。
「アプリケーションをもっと効率化しなければならない」とボーガーマン氏は言う。「開発段階に立ち返り、はたしてアプリケーションがグリーン化を前提に記述されているかどうか、いま一度考えるべきだろう」
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