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モバイルセントレックスの現在モバイルセントレックスのススメ(2/2 ページ)

「モバイルセントレックス」という言葉は2005年ごろから登場したが、具体的にはどのようなものなのだろうか。最新事情を含めて、その基本をみてみよう。

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モバイルセントレックスの課題と今後

 モバイルセントレックスは、先に述べた無線LAN通信機能を内蔵した特殊な携帯端末を使用して無線IP電話を利用するものでないのであれば、その価値は薄れつつあるといっていい。

 なぜなら、企業向けに携帯電話による通話料を低価格かつ定額で提供する料金プランが通信事業者から提供され始めたためだ。また、無線LANを利用した通信と音声の統合でなければ、真の生産性向上はもたらされない。モバイルセントレックスが従来の固定電話の内線をワイヤレスで提供するだけのソリューションであれば、以前から提供されている構内PHSと、効果はほぼ変わらない。それどころか、初期のモバイルセントレックスソリューションを導入したユーザー企業の営業部などからは、通話品質や内線の転送に必要な操作への不満の声も少なくはなかった。

 つまり、現在のモバイルセントレックスに求められるのは、これまで通りの音声通話品質は当然として、メールやグループウェア、さらにはSFA(営業支援)やCRM(顧客管理)などの業務アプリケーションと音声通話とのシームレスな機能統合が、ホワイトカラー層の生産性向上のために求められ始めているのである。

 携帯電話は、今や3インチのWVGA(800×480ドット)の解像度を持つディスプレイを備え、スマートフォンの台頭によって業務アプリケーションとの親和性も高まってきている。また、無線LANモジュールの性能も向上しており、オフィス内の無線LAN環境も整いつつあるといえるだろう。

 しかし、携帯電話のディスプレイの大画面化・高精細化が進んだとはいえ、特に年齢の高いオフィスワーカーにとっては、視認性をはじめとしてモバイルセントレックスで、どこまで業務用アプリケーションの処理を遂行できるのかという人的な課題も残る。技術的な課題が克服されるなか、今後のモバイルセントレックスには、実際に業務アプリケーションの端末として、携帯電話およびスマートフォンを利用するユーザーの視点に立った開発をメーカーやサービス事業者には期待したい。

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