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着実な実績を積み重ねるドコモのモバイルセントレックスモバイルセントレックスのススメ

モバイルセントレックスでは“老舗”のNTTドコモは、2004年からサービスを提供している。サービスの現状と同社の強みとはどのようなものだろうか。

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 NTTドコモは、2004年からモバイルセントレックスをソリューションサービスとして提供している。主力サービスの「PASSAGE DUPLE」は、無線LAN網とFOMA網に対応した専用端末を用い、SIPサーバや無線LANの内線設備を導入企業側で管理する仕組みだ。現在までに500以上の企業や教育機関などへ導入実績がある

 PASSAGE DUPLE以外には、SIPサーバの管理をドコモ側で行う「ビジネスmopera IPセントレックス」、企業内に小型の携帯基地局(IMCS)を設置してFOAMサービスを内線システムとしても利用する「OFFICEED」を展開する。ビジネスmopera IPセントレックスは、SIPサーバを自社で構築・運用する必要性の低い企業ニーズに対応したもの。OFFICEEDは、通常のFOMA端末を利用できる手軽さがあるが、保留など内線電話の一部機能は利用できない。

「IP」への抵抗がなくなる

 法人営業本部ソリューションビジネス部でネットワークサービスや開発などを担当する望月高治担当部長は、モバイルセントレックスに対する企業のイメージについて「IP化への抵抗感がなくなりつつある」と話す。


「サービス品質の向上に取り組むのが日課」と話す望月氏

 モバイルセントレックスは、汎用的な無線LAN電波やIP通信を利用するため、当初は電話回線に比べて安定した接続性や通話品質を得られるのかと不安を持つ企業が少なくなかった。ドコモもモバイルセントレックスのサービス開始からしばらくは、携帯電話に並ぶサービス品質を確保するのに苦労が伴ったようだ

 モバイルセントレックスの導入を志向する企業の多くは、既存のPBXや構内PHSシステムの更新に伴って、内線を始めとする音声系を社内のIP網に統合することを検討する場合が多い。

 「モバイルセントレックス導入の基準になるのが、固定電話やPHSの通話品質。サービス開始以来、当社ネットワークの構造から端末の基本性能(通話品質、動作時間、機能、操作性)に至るまで、徹底した品質の向上に取り組んできた」(望月氏)

 案件の規模にもよるが、導入の際には基本的にドコモの技術部門も参加し、導入先企業の情報システム部門やシステムインテグレーターらと一体となって、音声系ネットワークの構築にあたっているという。また、運用後も同社のテクニカルサポートセンターが24時間体制で一次対応を行っている。

 「基本的なサービスは内線ソリューションを提供しているほかの通信事業者と変わらないと思う。だが、導入実績やノウハウ、スムーズに発信できるのかといった細かい部分も含めた総合力は、他社を上回れるものだろう」と望月氏は話す。

テナントにもモバイルセントレックス

 これまで、ドコモのサービスを利用する企業の多くは大規模企業が中心だったが、最近ではサービスを拡張し、中堅・中小企業や大規模企業の拠点単位で導入するケースが広がっている。さらに、都市部では地域再開発に伴って誕生したオフィス・店舗の複合施設や新設されたホテルの内線サービスにモバイルセントレックスが導入されるケースも登場している。

 これらのケースでは、当初から施設内の基幹網がIPで構築されている場合が多く、施設管理やテナントの業務効率を高めるサービスという観点でモバイルセントレックスが選ばれている。

 PASSAGE DUPLEやビジネスmopera IPセントレックスの専用端末「N902iL」には、Felica機能も搭載されている。近年では、音声通話のほかにFelicaを身分証として利用し、入退室の管理やプリンタ出力時に認証を行っての情報漏えい対策、IP対応監視カメラの画像を巡回する警備員のN902iLに配信するといった利用ケースも増えつつあるという。

 今後の展開について、望月氏は中小企業でも利用しやすいようサービスの向上を図っていくとしている。「例えば無線LAN網を構築する必要がないので、工場など広大な空間を有する施設でも導入しやすい。PASSAGE DUPLEも中小企業で扱いやすいシステムとなるよう商品開発を進めていく」と望月氏。

 中小企業や支社などを対象としたモバイル市場では、ソフトバンクモバイルやウィルコムが安価な定額制料金を訴求して存在感を高めており、モバイルセントレックスの“老舗”であるドコモの展開が注目される。

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