Yahoo!買収提案で示されたバルマーCEOの新しい一面
激しやすさで有名なバルマー氏だが、Yahoo!買収についてのプレゼンテーションでは、同氏の成長と、より思慮深いアプローチが示された。
米Microsoftは、何年も前から欲しかった米Yahoo!の獲得を目前にしている。両社が2006年、合併の可能性について実質的な交渉を持っていたことは周知の事実だ。
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは報道陣とアナリスト向けに、なぜYahoo!の買収を提案したかを説明するプレゼンテーションを行った。しかしこれで最もよく分かったのは、今回の提案の背景にある戦略ではなく、プレゼンテーションがどれだけ周到に準備されていたかということだった。
確かにYahoo!の歴史において、Microsoft提案のタイミングは好都合だった。かつてインターネットの先駆者だったYahoo!は、従業員1000人の削減を発表し、買収提案発表前の株価は4年ぶりの低水準で取引されていた。
今回の動きはまた、米Googleが初めて相対的な弱さの兆しを見せた時期にも重なった。1月31日の決算発表はGoogle史上初めて投資家の期待を裏切り、利益が予想を下回った。
米Yankee Groupのアナリスト、ローラ・ディディオ氏によると、Microsoftは人気オンラインアプリを前に衰えが見える一方、Googleは広告収入をめぐる争いで優位に立ち、差を広げていると見られてきた。
実際、バルマー氏のプレゼンテーションで最初に示されたのは、買収が成立した場合、Microsoftの広告収入にどんなインパクトを与えるかだった。Microsoftはこの分野でGoogleに後れを取ってきた。同氏によると、2008年の広告市場は530億ドルの見通しだが、2010年には780億ドルに拡大するとみられる。
もしふさわしいタイミングというのがあるとすれば、今がまさにその時だ。「大胆かつドラマティックな動きが必要だ」とディディオ氏はeWEEKに語った。
提案のタイミングと完ぺきなプレゼンテーションは、バルマー氏の新しい一面を物語っているともディディオ氏は指摘する。「このペースの速い新市場で、同氏は驚異的に適応力と柔軟性が高くなった」
バルマー氏は激しやすさで有名だが、今回の提案では同氏の成長と、より思慮深いアプローチが示されたとディディオ氏は言う。また、同氏が市場を理解していることも示された。
1980年代に通販会社の米Home Shopping NetworkでWindows 3を宣伝していたバルマー氏は、同氏特有の熱心さで、特典としてムードリングを無料でお付けします、と呼び掛けていたとディディオ氏は回想する。
「バルマー氏はP・T・バーナム(訳注:19世紀の米国の興行師)のようだった。あれから20年が過ぎたが、同氏は今でも人の心をつかむやり方を心得ている。業界のムードをうまく読んだと言えるだろう」とディディオ氏は話した。
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