ソフトのデータ互換性が課題に――AutodeskのジェフCTO:Autodesk World Press Day 2008 Report
買収を繰り返すことで2D/3Dソフトウェアを拡充してきたAutodesk。製品および開発者の連携は果たして……?ジェフCTOに話を聞いた。
米Autodeskの最高技術責任者(CTO)であるジェフ・コワルスキ氏が、同社の技術力や開発フローの特徴について語った。
ITmedia 技術面でAutodeskが最も強みにしていることは何ですか?
ジェフ 製品ポートフォリオが広範囲で、かつ深いテクノロジーを持っていることです。建物の設計、デザイン、内装から、地形など取り巻く環境の構築に至るまでプロジェクトのすべての段階で使うことができます。従って、開発者やデザイナーといったプロフェッショナルだけでなく、専門知識を持たないユーザーでも容易にツールを使用することが可能になります。
ITmedia 昨今「Google Earth」などコンシューマーによる3D活用が増えています。貴社の3D技術は今後どのような社会貢献ができますか?
ジェフ われわれは異なる分野においても共通する技術を持っています。2Dと異なり3Dは視覚的に理解しやすく、コミュニケーションを活性化するアウトプットとなります。誰にでも分かるという点が大きな特徴です。ラスベガスの水道局が採用した3Dモデルのインフラ管理システムが良い例ですが、政府機関からエンジニア、一般市民までそれぞれが使い方を選択できるようになります。
ITmedia 企業買収によって製品を拡張してきたため、ソフトウェアごとの縦割りで開発をしているイメージを持ちます
ジェフ まさにその通りです。創業から十数年間はCADソフトウェア「AutoCAD」だけを展開してきた背景があるため、それ以外の製品はAutoCADをプラットフォームにし、その上に業界別のビジネスユニットを組んで開発を進めてきました。分野ごとの進出が可能となり、特に製造やメディア&エンターテインメント、AECと呼ばれる建築、エンジニアリング、建設の分野では極めて強力な製品を送り出すことができるようになりました。
現在われわれが直面している課題は、各市場ごとに開発したソフトウェアを相互に取り込むことです。例えば、複数のアプリケーション間でのデータの互換性や、シュミレーション、ビジュアライゼーションの共有化などが挙げられます。ある製品の特徴を別の製品に組み込むというプロジェクトも立ち上がりました。
ITmedia 世界各国に開発拠点を持つ中で、完成に向けてどのように製品のクオリティを統合、向上させているのですか?
ジェフ 「プロダクトアーキテクト」という、製品を作り上げるための優れたチームが社内にあります。彼らは製品の特徴をどういったものにするか議論した後、遠隔地にいる開発者とメールや電話会議などで打ち合わせします。さまざまな形でコーディネーションをしていますが、現在のところ問題はないです。ITの進歩により、リアルタイムかつ双方向で製品レビューが可能になったからです。
われわれの特徴は、どの地域でも一定以上の人数でチームを編成できている点です。個人に依存することなく、各人の力や専門的な知識を共有して製品を開発しています。
グローバルで展開しているため、コミュニケーションの量や必要性は増す一方です。しかしながら、世界中の開発者の資源を活用できるというメリットは大きいです。現在、ビジュアライゼーションの専門家はカナダのモントリオールに、演算の専門家はイギリスのケンブリッジに、中国には機械工学のスペシャリストがいますが、世界のどこにいても適確な人材にアクセスできるというのがAutodeskの強みです。
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