Java Community Process(JCP)は、オープンソースソフトウェアおよびオープンソースコミュニティー活動の影響を受け入れる方向に変化しつつある。
Sun MicrosystemsでJCPプログラムを統括するパトリック・カラン氏は、サンフランシスコで開催された「JavaOne」カンファレンスにおいてeWEEKの取材に応じ、「ソフトウェア業界に変革をもたらしたオープンソースの波は、JCPにも少なからぬ影響を与えている」と語った。
「オープンソースそしてそれがソフトウェア業界にもたらしている効果は、JCPにも同様の影響を及ぼしており、われわれはそれに基づいてプロセスを変更することになるだろう。われわれはオープンソースおよびそれが業界にもたらした大きな恩恵を好意的に評価している」とカラン氏は話す。
オープンソースが提供するライセンスモデルおよびコミュニティー開発モデルの変化に伴い、「人々に見えるような形で作業を進めるというオープン性と透明性に対するプレッシャーが高まった」と同氏は言う。
JCPはJavaおよびJavaプラットフォームの管理組織で、同言語およびプラットフォームに対する変更や追加を規定する各種のJSR(Java Specification Request)を統括する各専門家グループで構成されている。JSRワーキンググループの作業は最終的には公開されるが、必ずしも透明性が確保されているわけではないため、プロセスの各段階で何が起きているか部外者に分からないこともある。
SpringSourceのロッド・ジョンソンCEOは最近行った講演で、高圧的だとみられているJCPを旧ソ連の人民委員に例えた。しかしジョンソン氏はJCPに関するパネルディスカッションの中で「JCPは組織の改革を進め、オープンソースの手法に近づく努力をしているとわたしは考えている」と述べた。
カラン氏は「これについては既にさまざまな動きが進んでいる」と語り、一部のJSRは完全にオープンソース方式で処理されていると指摘する。
ジョンソン氏の人民委員の例えに関して、カラン氏は「数年前の状況をある程度反映した見方であり、同氏の指摘の多くは、わたしもある程度まで理解、同意できる」と述べている。
ジョンソン氏は、JCPはさまざまなコンセプトの標準化を急ぐべきではないという見解も示した。特に、ソフトウェアスタックの上層の技術については、業界がその技術を受け入れる上での問題点を洗い出す機会が得られるよう、標準化を遅らせるべきだという。
「現在、さまざまな委員会の中でこういったことが議論されている」とカラン氏は話す。
「2週間後にはパリで会合があり、それについて話し合うことになっている。1年以内にはJCPポリシーを少し変更し、オープンソースの大波を受け入れられるようになるだろう」(カラン氏)
さらにJCPは、Java規格全体から一部の技術を削除することも承認した。
「“陳腐化した”初期の規格の一部を取り除いてJavaをスリム化することを可能にするためのプロファイルを策定中だ。Java SE(Standard Edition)およびEE(Enterprise Edition)が少し大きくなり過ぎたとみられるようになってきた。しかしいかに古い仕様でも、必ずそれを利用している人がいるので注意が必要だ」とカラン氏は語る。
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