IT関連資格の価値が急降下:持っていても損?
ITリーダーやアナリスト、各方面のプロフェッショナルによると、採用候補者の選考過程では、いかなる資格もほとんど意味を持たないらしい。
ものによって程度の差はあれ、かつてIT関連資格にはほぼ絶対的な価値があった。
ドットコムバブル崩壊後の数年間、多くのIT専門家は熱心に資格を取得し、失業を免れようとしてきた。一方、彼らの上司もそうした資格を利用し、自らが組織のコスト削減に役立つ人材であることをアピールした。
だが、IT専門家の経歴の中で何を重視し、何を重視しないかをCIOやIT責任者、アナリストなどに尋ねたところ、最近は「以前ほどIT資格の有無を考慮しなくなった」という意見が多く聞かれた。
長年にわたり、IT資格の価値を調査対象としてきた経営コンサルタント企業Foote Partnersのデビッド・フット氏によれば、資格離れが起こったのは、IT部門の社員に純粋な技術的役割以上のものを求める傾向が強くなったことに関係があるという。
「各種の資格は、ベンダーが自社製品の販売促進のために作ったものだ。技術者がこうした資格を取得すれば、当該のベンダーで働いているわけではないが、同社の製品を推奨する人が増えることになり、ベンダーにとってメリットになる」(フット氏)
Foote Partnersは5月17日に発表した調査報告書の中で、164種のIT資格について、「2008年初頭の有資格者手当の平均額が7四半期連続で減少した」と述べている。その一方で、ITスキルの市場価値は上昇を続けている。
「最近の調査から、結局大事なのは“実行力”だということが分かった。単に技術知識を持っているだけではだめで、技術的な直感が求められている。仕事を完遂し、将来にわたって利用できるソリューションの開発力に注目が集まっているのだ」(フット氏)
ITリクルート分野の関係者も、同氏の考えに賛同している。人材スカウト会社Technisourceの西部地区担当副社長、ショーン・エブナー氏は、「IT資格の人気は昔より落ちる」と話す。
「履歴書にPMPを載せるのも悪くないが、企業がプロジェクトの責任者を探している場合、同様のプロジェクトに関わったり、主導したりした経験の方が重視されるだろう」(エブナー氏)
ただしエブナー氏は、特定の技術について極めて高度な知識が必要になる職種では、資格を保有していることが採用条件として有利に働くケースがあると説明している。
エブナー氏は、「比較的低いレベルのポジションなら、資格の有無が重要な選別対象となる。Microsoft製品などの技術環境で仕事をする場合、最上級ランクの資格を持っていれば、高いスキルを持っていると認めてもらえる」と話し、「CompTIA A+」などの技術資格を例に挙げた。
技術スキルが非常に重視されるセキュリティ分野に限られるが、「評価が依然下がっていない資格もいくつかある」と、フット氏は述べている。
「セキュリティは、技術的に高度なものを求められる分野だ。技術スキルが幅を利かせている同分野では、今も資格の所有が重要な採用条件だと認識されている」(フット氏)
こうした例外があるとはいえ、「資格の有無で採用を決めることはもうない」と、多くのIT関係者が口をそろえている。
ある大手小売企業のIT管理者は、「資格の価値はほぼゼロだ」とeWEEKに話し、資格を持っていることはすなわち「テストの成績が良いのど同程度の意味でしかない」と述べた。「資格を所有しているからといって、会社の財産となる人材だとは考えられない」(同管理者)
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