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新型インフルエンザの脅威、大手企業で進む対策 :大手金融機関はSARSを教訓に(2/2 ページ)
世界的な流行の危険がある新型インフルエンザに対し、企業が対策をまとめている。従業員が感染すれば、業務の継続に支障が出るからだ。
ATMなど止められないシステムを運営している金融機関も、事業継続への取り組みを強化している。日本銀行が公表した「業務継続体制整備の具体的な手法」には、新型インフルエンザに対する大手金融機関の対策がまとめられている。
同資料によると、2003年に海外で流行したSARS(新型肺炎)では、感染経路の特定ができず情報が飛び交ったこと、流行の初期段階でマスクの買いだめが殺到し、品切れが続いたこと、感染の疑いがある従業員の部門で業務を停止しなければならなかったこと――などが問題に上がった。
これらの教訓を生かし、大手金融機関では、感染拡大の局面ごとに対応を講じたり、医療関係者を含めた業務継続の統括部署を設置したりするといった取り組みを始めている。「各行では、SARS流行の経験を基に、これまでに構築した業務継続体制を強化する動きが目立っている」(日本銀行)
新型インフルエンザの感染拡大は、全社的な業務の中断を引き起こす恐れがある。各企業は、ビジネスを止めないためにも、周到な準備が必要となりそうだ。
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