ミューチップ採用の図書が30万冊 「赤レンガ図書館」に行こう:突撃! ユビキタス空間(1/2 ページ)
大正時代に建設された赤レンガ倉庫を建物の一部に組み入れた北区立中央図書館が開館する。30万冊の蔵書にICタグ「ミューチップ」を取り付けており、図書の貸し出しなどが自動でできる。一足先に体験してみた。
6月28日に東京都北区の「北区立中央図書館」(赤レンガ図書館)が開館する。ガラス張りの現代建築で3階建ての建物に、1919年に建設した「赤レンガ倉庫」の一部が組み合わさり、延べ床面積6165平方メートルの内部に450席の座席を備える。今年3月に閉館した旧中央図書館が移転したものだ。
同図書館は、日立製作所の無線ICタグ「ミューチップ」を採用し、蔵書の管理を進めている。各地の図書館において、自動入退出管理システムや蔵書の自動貸出機の導入などが進んでいる。その中で、ミューチップを蔵書管理に採用した公立図書館は、北区立中央図書館が初という。
赤レンガ図書館ではどのような蔵書管理が行われているのだろうか。
老若男女問わず簡単に図書を貸し出し
赤レンガ図書館は30万冊の蔵書がある。これらの蔵書に、ミューチップと住友スリーエムの図書管理用磁気テープを組み合わせた「コンビタグ」を貼り付けている。コンビタグは幅2.5ミリ、厚さ0.4ミリ、ミューチップと磁気テープの部分が140ミリの形状。図書のページ間に取り付けられており、見た目ではICタグがどこにあるか分からない。
ミューチップを活用できるのは、図書の予約や情報の閲覧ができる「利用端末」と、貸し出しができる「自動貸出機」だ。
図書を利用端末にかざすと、ミューチップの情報を読み取り、タイトルや作者、あらすじなどが端末画面に表示される。ICタグは背表紙の近くに貼付してあるので、読み取り機に背表紙をあてると、うまく読み取れる。この利用端末は、館内の13カ所に設置してある。
同じ方法で、図書の貸し出しもできる。図書館の利用カードを端末にかざし、ユーザー情報の読み取りを行う。次に、借りようとしている図書の冊数をタッチパネルで入力し、専用のリーダに図書を重ねて並べる。「ボン」という音がすると、手続きは終了だ。読み取り時に図書を斜めにすると、情報が読み取りやすくなるという。
従来の図書館で利用されているICタグは、13.56MHzの接触型タグが大半だ。今回採用されている2.45GHzのミューチップに比べて電波の到達距離が短く、リーダと図書を近づけて読み取りをしなければならなかった。また裏表紙にICタグを付けるため、人の手に触れやすく、破損しやすかった。
ミューチップは、背表紙の裏側に貼付するため、人の手などに直接触れることはなく、ICタグの破損を防げる。複数の図書を重ねた状態でも一括で読み取りができるのも特徴だ。
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