グリーンITを取り巻くさまざまな動き:洞爺湖サミット迫る(3/3 ページ)
最終回となる今回は原点に立ち返ってグリーンITの定義を再確認する。その後、大手ベンダーや各種団体の活動内容などについて整理していく。
国内大手ベンダーの動き
主要団体が互いに協力関係を結んでグリーンIT推進のための動きを進める一方で、国内大手ベンダーもそれぞれの取り組みを進めている。以下では主要大手ベンダーの動きを
- 日本IBM
米IBMが提唱する「Project Big Green」を同様に推進している。「Project Big Green」はデータセンターのエネルギー効率改善を主な活動内容としている。また、ラックの後部ドアに熱交換器を取り付ける米IBMの特許技術「IBM Rear Door Heat eXchanger」を生かし、三洋電機と共同で消費電力を大幅削減したラック背面局所冷却ソリューションを提供するなど、日本発の技術開発にも積極的に取り組んでいる。
- サン・マイクロシステムズ
米Sun Microsystemsが提唱する「Eco Innovation」を国内でも推進している。サーバだけでなく、クライアントPC/データセンター/ソフトウェア/サービスまで網羅したトータルでの取り組みが同社の特徴である。中でも、データセンターに必要とされる諸機能を備えながらも運搬可能なコンテナ型仮想データセンター「Project BlackBox」は斬新な取り組みとして注目される。
- 日本HP
広範にわたってさまざまなソリューションを提供している。「スマート・クーリング・ソリューション」では温度センサーを細かい範囲に設置することで、ラック単位での温度分布を把握し、サーバルームやデータセンターにおける冷却効率の高いレイアウト設計を提案する。HP BladeSystem c-Classで採用された「CO2削減インセンティブプログラム」は同製品が持つ「ダイナミックパワーセービングモード」を活用して節約できた消費電力をCO2削減量に換算し、それに応じてユーザーが支払う従量課金量を差し引くというものである。このようにコンサルテーションやマーケティングの面でさまざまな工夫を凝らしているのが同社の特徴である。
- NEC
2012年までに同社ユーザーのIT活用における消費電力を最大50%削減し、併せてIT機器のCO2排出量を約91万トン削減するという「REAL IT COOL PROJECT」を推進している。同プロジェクトの具体的な活動の1つとして、同社従来機種と比較して消費電力55%、設置スペース50%、総重量58%の削減を実現した省電力サーバ「ECO CENTER」を出荷している。
- 富士通
「Green Policy Innovation」を提唱し、ブレードや仮想化を活用した「ITインフラの環境負荷低減」と各種ソリューション提供による「IT活用による環境負荷低減」の双方の実現を目指している。
- 日立
今後5年間でデータセンターの消費電力を最大50%削減する「CoolCenter50」を提唱している。その実現のために運用管理や仮想化技術、コンサルテーションといったシステム構築の上位レイヤーも含めた種々の施策を推し進めている。
これまで、3回にわたって、グリーンITに関連するさまざまなトピックを駆け足で眺めてきた。地球温暖化対策には長い目で地道に取り組む姿勢が欠かせない。したがって、グリーンITについても一過性のブームで終わらせるのではなく、ユーザーとベンダー双方が長期的な視点で取り組むことが重要だ。またグリーンITは単独で存在するソリューションではなく、サーバ統合化による運用管理負荷軽減やシンクライアント導入によるセキュリティ強化、データセンターの集積力向上による運用アウトソースの活性化などITにおけるほかのさまざまな事象とも密接に関係している。
さらに第1回で触れたように、手持ちのIT機器を使いこなすことで実現できる省電力化の手法も多く存在する。個別の事象に対する追加投資のみを考えるのではなく、全体的な視点でIT活用方法を改善する一環として、グリーンITをとらえることが無理のない取り組みを進めるための第一歩といえるだろう。
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